第4話朝の連絡
始業前
薄暗い教室に生徒は集う
ただ、今日は隣の席が空いている
もう、彼女は来ることもないだろう
始業のチャイムと同時に入ってくる先生が今日は
五分、遅れて入ってきた。
こんな日もあるんだねと、ざわめく教室の中で誰かが言った
やがて、クラス担任の教師が現れた
やたらと正義感のある顔は、負けたヒーローの顔になっていた
ざわつく生徒に対し、<静かに>と言い放つ
そして、長い間をおいて
「、、、けさ、仄白さんが亡くなりました」
時が止まった
「早朝、仄白さんの家から連絡がありました。葬儀などの日程は決まり次第、連絡しますので。、、各々で行くように。以上です」
教室にはかすれた声だけが残された
・・・・・・・・
休み時間
女子トイレ
出ようとするドアの向こうで
悪気なさげに話す声
「ねぇー今日死んだってホント?」
チクリ。
「あの人、嫌い」
「嫌味言ってもすましちゃってさ」
「本当に、居なくなってくれて清々する」
「「「ねー」」」
クスクスと笑う。
話のタネがよく育ったのだろう
今ここで出ていって一発殴ってもいいのだが
、、、反応すると同じ位置に堕ちる。
素知らぬ顔で、平然とドアを開ける。
性格のよさそうな顔をしている三人組
中身は、知らない。
相手は一瞬驚いた顔をするも
新たな種を見つけた顔になる
「あ、獅子さんじゃない」
「この度はご愁傷様ねぇ」
「仲良かったんでしょ?可哀そうに」
イライラ
「どうも。お気遣い、ありがとうございます」
「獅子さん」
「何です」
ピッ
水を顔に飛ばされる
「あら、ごめんなさい。よけてもらおうと声をかけたのですが届きませんでしたか」
「、、、生憎のところ、聞こえなかったです」
「そ。」
「獅子さん。夜道には気をつけたほうがいいですよ?最近危ないので」
「そちらこそ、気を付けたほうがいいんじゃないですか?金持ちなんですから」
睨み合う
誰だろう、この人
取り巻きの一人が間に割って入る
「
ああ、そういえばそんな名前の人がクラスにいた気がする
取り巻きの二人目が
「そういえば ゆかり、ってご存じ?」
と聞いてきたもんだから
「、、、知りません」
と素で答えてしまった。もしかしたら、ふりかけの名前かもしれない
「天條さんの下のお名前ですが、、」
「へえ、、、」
青ざめながら言われても、ピンとこない
「、、、獅子さん。本当に夜道に気を付けたほうがいいことね」
親の仇でも見るような眼を向けられた
天條さんらしき人に扇子を持たせていたら、即刻へし折っていただろう
そう思いながら
「失礼します」
天條さんの横を通り過ぎていった
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