第456話 ふたりの客 🚙

 


 未明に起き出た朝は、午前六時開店のファストフード店へ行くことにしています。正直、エッグマフィンが胃に重いときもありますが、顔なじみの女性スタッフさんが「ホットのカフェラテでしたよね?」先まわりしてくださるのもうれしく、ほぼ貸切状態の広い店内の隅のボックス席で、読書や作句の時間を静かに楽しみます。(*'▽')


 今朝は珍しいお客さんが相次いで入店しました。車高のある地元の高級車でやって来たのはかつて交流があった物理の大学教授によく似た老紳士で、首都圏ナンバーの四輪駆動から降り立ったのは、半袖半ズボンの野性味豊かなミドル男性。後者に隣の席に来られて警戒しましたが、案外おとなしくスマホに熱中してくれました。(笑)





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※まだ明け初めない庭でしきりに集く虫の音が朝ごとに高まって来ています。音階が高いの低いの、それぞれに自分の持ち場を守り通す自然の律義さ。古代からの先人たちも同じ声を聞いて来たことを思うと、ふと安らぐ気持ちに駆られたり……。あがいてもあがかなくても人の生は宇宙の長い営みのほんの一瞬を掠めるだけなのだなと。




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