第436話 人づて 🪮
美容院でカラー待ちに渡されるのはたいてい女性週刊誌。日ごろは縁のないそれをパラパラ繰ると知らなかった世相がかいま見えるのが、面白いといえば面白いです。その一冊にドキュメントふうの読み物があって、事業経営に多忙な女性の隙を突いて入りこんで来た家政婦に夫や子どもたちを懐柔されるというえげつない物語が一編。
不満なプライベートの鬱憤晴らしを目論む家政婦は、派遣先の家族それぞれの耳に毒を流しこみます。夫が妻が、息子が娘が、ああ言っていたこう言っていたと……。自分に向けられた批判は直接より人づての方が重みを増すもので。当然ながら家中が疑心暗鬼になり、女性が恃みにできるのは事務所で暮らす保護犬だけということに。
思わず前のめりになって読んでいたヨウコさん「あのひと、金儲けは上手だけど、ほかはさっぱりなんだよね~」まるでゴミ扱いの無礼な陰口を叩いたその手でちゃっかり小遣いをもらっている夫や子どもたちに「ちょ~っと~っ、小犬のように懐いている家政婦からせしめたらどうなの、そのお金!!」怒り心頭だったみたいですよ~。
🪟✂ 🪟✂ 🪟✂ 🪟✂
※カフェに行こうと玄関を出たところへ、ご近所の年若い女性が通りかかりました。いつも感じのいいひとですが、今朝はいちだんとほがらかに「カラー講座に出席してみたら、ふだん着ているものと全然ちがう色を勧められました~」(^^♪ ようやく自身に目を向ける余裕が出て来たんだね。そう思ったら、なんだか目の奥が、うる。
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