第429話 幻想の石畳 🌆
これも数年前のこと。高速道路のインターを降りるとき考え事をしていたらしく、いつもの一般道を見知らぬ風景が流れていました。でも、西方の低い山並みを越せば自宅のある市に至るはず。方向は誤っていないので、そのまま車を走らせていると、ん? 江戸の宿場町を復元したような石畳の一画へ。軒先の大提灯が瞬いています。
まあ、なんと日の暮れの早いこと。残暑を疎んでいるうちに季節はもう秋に入っていたんだね~。のんきなことを思いながらゆっくり走っていると、あらら、どんどんおかしな方向に坂を下って行きます。いまにも格子戸が開いて、おきゃんな看板娘が愛想のいい笑顔を覗かせそう。いや、待って、もしや狐の娘? あやかしの巷……。
ええい、それならそれで騙されてやろうじゃないの。先を急いでも、だれかが家に待っているわけでもなし、ちょこっと近世へお邪魔しても、それはそれでミニ旅行の締めとしてわるくないよね。そんなことを考えているうちに底に達した石畳が上りになり、つぎの瞬間、ライトをつけ始めた車輛が行き交う国道へ出ていました。コン。
🦊👘 🦊👘 🦊👘 🦊👘
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます