第428話 霧の妙義山 🌁
あれは何年前のことだったでしょう、首都圏へ向かう早朝の高速道路はけっこう往来があって、うっかりしているとすごいスピードで追い越し車線を走り抜ける車に度肝を抜かれたりします。とりわけ軽井沢のあたりは霧の名所で、夏と秋のさかい目のこの時期、もわっと白い闇に前方を塞がれ、思わずブレーキを踏んだりして……。
とそのとき、うわあっ、なにあの異形は?! 空にも地にも搾りたての牛乳を撒いたような異空間をぬぼうっと凌駕する巨大な翳が現われました。その頂きは太い棒で力任せに叩かれたようにアットランダムな形状で、はじめてその凸凹を見たひとは腰を抜かしそう。信濃国と上野国の県境をなす妙義山というのが、その威容の名称です。
おれさまをわがもの顔で這いまわる高速道路や新幹線軌道などなんぼのもんじゃと言いたげな大自然の迫力にひれ伏す思いで粛然とペダルを踏んでいましたっけ……。今朝のヨウコさんは、残酷なほどの残暑もさすがに終盤と見え、すっかり秋の気配に満ちて来た未明の庭の涼気を全身で感じながら、静かにパソコンに向かっています。
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