第419話 他人の本質 🍋🟩
目覚めたら三時。安心して(笑)テレビをつけると『ひきこもりラジオ』でした。全国の数十万人のリスナーから寄せられる短いメッセージをあっさり紹介するだけ、このうえなく静謐な番組の担当は『国際報道』メンバーの地味な男性アナウンサー。深刻な悩みも多少軽めのものも、アドバイスなしで飄々淡々と読み上げています。
番組がスタートした時点では若者のリスナーが多い印象でしたが、今回は三十代から六十代まで幅広く、というよりむしろシニア世代が多いように感じられます。社会の外縁に生きる自分にとって、だれにもいじめられない自室だけが自分の世界、職に恵まれない自分にとって朝の公園で見かける出勤途中のスーツの背は……などなど。
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控え目なリスナーに静かなアナが寄り添いますが、稀に「ひどいこと言いますね、どうしてそういうことを言うんですかね~」抑えきれない生の感情の噴出もあって。勇気を出して相談に行った先で「あなたは病院に行けないのではなく行かないひと」と決めつけられた絶望、かなり慰められたろうね~と応援する未明の視聴者約一名。
八十点のテストを「満点に二十点も足りない」と叱られた古傷を持つ女性をさらに追いこんでどうする(怒)。でもね、安心して、みんなが無責任だから。身体能力に恵まれた十代が世界の頂点に立ったと賞讃はしても、長すぎる余生への心配はだれも本気でしない、それが他人の本質だからね。そんな文言が脳裡を過ぎっていきます。
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