　長年、掘り起こして来た太平洋戦争の記録を第二次・第三次戦後世代に引き継いで欲しいと切望はしていますが、くれぐれも確かな史観に基づいた執筆をお願いしたいです。創作にせよエッセイにせよ歴代日本政府による侵略や強制労働など負の史実を踏まえないと、敗戦国民の悲哀を強調するだけのセンチメンタルに堕しかねません。

　近現代史はもちろん秀吉の朝鮮出兵など近世以前の歴史もきちんと把握してから。むろん、偏った資料ではなく、多方面からの観方に幅広く目を通す必要があります。銃後や戦後の生活描写においても背景の史実を正しく踏まえていないと、なんとなしの違和感が生じ、やがて大きな破綻に至る危険性をはらんでいるように思われます。

　さらに、もっとも重要なポイントは戦争責任の問題ではないでしょうか。敗戦への道を牽引して来た当時の軍部のトップや、内外の事情があったとはいえいまだに責任を取っていない皇室はもちろん、おかしな雲行きに異を唱えず、易々とプロパガンダに操られた一般民衆にも、一端の責任がなかったとは言いきれないと思われるので。

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