第403話 夏祭り 🪭
幼稚園を経営していた大先輩の「Eテレなら終日つけておいても飽きませんよ」の言がこれほど身に沁みた夏はありません。かつて避暑地と呼ばれたことがうそのように連日の三十五度越えの猛暑になす術もなく、朝からカーテンを閉めきり深海の底の魚になった気分でひたすら編み棒を動かしていると、頭も心もへんになりそうです。
単調な作業のおともに音は欠かせませんが、テレビをつければ聞き苦しい大絶叫、耳をふさいでラジオをつければこれまた同じくで、追い詰められてEテレに走れば、おお、これはまたなんと心地よい静謐……各外国語講座、古典、園芸、医療、料理、クラシック、なにを聴いても、段数と目数を数える繰り返しの妨げになりません。
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ひと段落したところで、それでもと思ってニュースに切り替えれば、夏休みで給食がなくなったひとり親家庭の子どもたちの多くが一日二食or一食百円生活を強いられているという報道。あまりの不条理につぶれかけた胸は、一転して明るい五輪報道についていけません。仕事とはいえよく簡単に切り替えられるよね~。((((oノ´3`)ノ
各局で口を極めて絶賛されている☆◇や☆◇☆◇☆◇の競技って、よほど経済力に恵まれた家庭の出身でないと無理でしょう。なのに何色のメダルを取ったとか取らないとか大騒ぎされてもねえ。同じ人間としてこの世に送り出しながら、なんなのよ、この歪な構造は?! あくまで顔を見せない無責任な創造主に詰め寄りたくなります。
同時にこうも思ってみるのです、同意見を見かけないところを見ると、もしや自分だけに知らされていない暗黙の処世ルールがあるの? 常態の寂寥感はそこから?
むかしから為政者たちが領民の不満解消の絶好のツールと恃んで来た夏祭り、今夕、当地でも盛大に行われるようです。しばらく安泰かもしれませんね、市政も国政も。
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