VOL.05

第400話 尊厳 🖊️



 その一行を読んだとき、かっと全身があつくなりました。いくらなんでも、それはないでしょう、残念という程度を軽く超えて、大先達の生き方を冒涜しているよね。野心的な評伝の材に使われているクリエイターが書き手と同じ立場だったら許せたかもしれませんが、妻子持ちの大学教授という優位ポジションからのモノ言いは……。


 夫と永訣したクリエイターが養子に迎えた身内との同居を選ばなかったため結果的にひとりのさいごを迎えることになった。その厳粛なる選択を「さびしい晩年」とは?! 夫婦だけの濃密な思い出の箱である家で尊厳ある独居を貫き、この上なく幸せだった本人はやれやれと苦笑しているにちがいないとヨウコさんは確信するのです。

 


      🏡



 報道によると、ひとり暮らしの高齢者のための行政支援の仕組みづくりが始まったそうです。救急車で運ばれた先が住まいと異なる市町村だったりすると、身内や友人などの連絡先がつかめず、結果的にだれにも知らされずに無縁墓地に埋葬されるという現状改善のためと思われますが、厚労省さんには完璧なネット構築を切望します。


 従来のような家族単位ではなく多様な生き方がようやく定着しつつあるいまこそ、この世に与えられた生命を一所懸命に輝かせて来ただれもが安心して尊厳あるさいごを全うできる法整備を強く強く望みます。この機会に成年後見制度の弱点も見直し、行政間の横の連携を緊密にするよう、国の音頭取りで手厚い看取りをどうかどうか。




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