第399話 本質 🗑️
あ~あ、ついに最終頁まで来たんだね。深い虚脱感に駆られ、しばらくはカフェの大窓に目を投げてぼうっとしていました。木目もあらわな粗削り、自分の書くものが他者にどう受け止められようと知ったこっちゃない。好かれてもきらわれても自分は自分。いままでもこれからもずっと……。そんな強力な磁石に引っ張られています。
ぼそっと愛想なく呟かれる言葉の魅力に気づいてしまうと、なんて退屈でつまらないんでしょう、世に完璧として迎えられているものたちの本質が。(*''ω''*) 潔さが格好よくて、自分もそうありたいと憧れますが、簡単になれようはずもなくて。おもねらない作者さんにきらわれないよう(笑)ひっそりと盛大な拍手を贈っています。
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話は変わりますが、俳句を始めたばかり、二回目の句会のとき、きびしい雰囲気に少しでも溶けこもうと、車をやめて電車で出かけました。初回と同様にこてんぱんな批評に委縮しきった帰路の特急電車で、男女各一名の大先輩と文字どおり膝を突き合わせ、一時間余りにわたって懇々と俳句談義やら注意事項やらの諸々を承りました。
そのとき「新人さんもおかしな方向に行かなければ大丈夫」と言われたのです。おふたりとも自然詠ひと筋にン十年という筋金入りの来歴とお聞きしていましたから、言わんとすることはなんとなく。ただ、わたしも倣えるかなあと少し不安が……。物事の本質は銘々の目の位置で測られることを、生意気にも承知しておりましたので。
おふたりとも相当なご高齢だったので、すでに引退されているのですが、いま自由気ままに作句しているヨウコさんの実態を知ったらどう叱られるだろうと思うことがあります。同時に、自分は真白な新人さんの足かせになるようなことは言うまい、なにも知らない耳を退会したひとやライバルのうわさでけがすようなことも……とも。
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