第395話 移民 🌐



 ちらと観ただけなので詳細はわかりませんが、第二次世界大戦の直後(?)に強制退去を命じられ、土地、家屋、経営していた店などの全財産を没収された日本人移民にブラジル政府が初めて公式に謝罪するという報に驚きを禁じ得なかったのは、彼の国への移民に関しては数少ない成功例だったと、なぜか擦りこまれていたからです。


 明治初期のハワイ移民を筆頭にメキシコやペルーなど熱帯密林へ、昭和に入ると軍事侵略による幻の満洲国へ、政府の惹句に釣られた国民が大挙して入植した。国内においても、足尾鉱毒事件の農民が「温暖で肥沃な地」と騙されて北海道の原野へ送られたなど、数々の棄民の歴史を承知していたはずなのに、なんとまあ脇の甘いこと。


 日本移民の負の歴史は、パリのマンガ喫茶のドキュメントに登場したアフリカ出自の青年の吐露する“あとからこの国に来た”苦衷にも重なり、同じ番組での出版社員氏の「米国のような勧善懲悪ではない日本のマンガ文化は世界に大きな影響力を持つ」の称賛発言に他愛なくゆるめていた自分の頬のご都合主義も大いに恥じ入りました。




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