第394話 詩 🎨



 我流の連作俳句を詠むとき、いつも気にかけているのは詩になっているかどうかということ。空や雲や風や花を詠めばいいわけではなく、まして既成の熟語や観念的な言葉が詩になる例は少ないので、なるべく平明な表現で、背景の物語から微小な哀歓まで漂わせたい。二十句すべてには無理なので、せめて一句二句はと念じています。


 とか言って澄ましていますが(笑)それが出来れば、だれでもすぐに俳人になれるわけでして、念じてもなかなか出来ない、禅問答の高みに到達しがたいところに修練の面白さがあったりもします。あるモノの本によれば、ひとの本質は変わらず、たとえ技術的に向上したとしても気づけばスタート地点にもどっていたりするそうです。


 そう言われるとシュンとなったりもするのですが、逆に考えれば、やわらかな情景の希求から始まったヨウコさんの句はその志向を貫くしかないわけで、そう思い決めればむしろ気が楽というか、師匠が採ってくださった句を芯に据えて従来の路線を追求していけば、やがてはどこかに到達するのだなと、そんなことも夢想したりして。




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