第391話 ときめく 🐞



 たとえ、たくさんのひとたちがそれは間違っていると声をそろえても、観るわたし自身に訴えかけて来るもの&ときめくものがあれば、それは立派な美術鑑賞ではないか。料理と同じで、美味しさの種類がちがうに過ぎないのだ。権威的な美術番組での美術家の勇気ある発言に、おお、まさにまさに!! と拍手を贈ったヨウコさんです。


 金子みすゞさんの詩作品を例に引くまでもなく、絵画や彫刻に限らず音楽や文学においても芸術作品の受け留め方は十人十色が当たり前なのであり、多分に時代背景にも影響されて優劣をつけたり一色に統一したりするほうがおかしい。結果として宮沢賢治さん初め生前は無名だった創作者が少なくないよね~とずっと思って来ました。


 一方、矛盾するようですが、文学においては発信者が積み重ねて来た人生&心の軌跡と受け取り手のそれが一致するときにはじめて正当な鑑賞が成り立つように思われます。作品の底知れぬ奥ゆきに到達しない、表面的なとらえ方が残念な鑑賞例がときどき。両者のミスマッチはなかなか埋められない、ほぼ永遠の課題であるとも……。




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