第390話 抵抗勢力 🌞
高速道路を一時間ほど走った川沿いの町のストーブ屋さんで求めたというドイツ製の剪定ばさみの機能性を得々と語り、道端の夏草で実演までしてみせるのは斜向かいのシニアのご主人。お隣のミドルのご主人はイタリア製草取りの使い勝手を開陳し、かたやヨウコさんは編み物に興味のないおふたりに(笑)ドイツ製毛糸を披露する。
とそこへ三々五々やって来たご近所の老若男女が加わり、日曜日の朝のときならぬ自慢大会が大盛り上がり。ジョーク好きなひとの意味不明な自慢話にどっと歓声があがり……なんて仲のいいご近所さんなんでしょう。事情を知らないひとが見たら、きっとそう言うにちがいない和やかな光景を真夏の朝日がきらきらと照らしています。
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あまりに横暴な古参住人たちの言にうなずけず「ちょっと待ってください、コロナ前と後では紀元前と後くらいちがって当然でしょう。前例がないとばかり言っていたら社会の進歩はあり得ません。それでもどうしてもと言うなら、わたしはパスさせていただきますから」ヨウコさんがそう宣言したのは昨年の地域一斉清掃の朝でした。
コロナ禍が一段落したいまこそ改革のとき。年齢からしてそう長く住人ではいられない自分はともかく、時代錯誤な頑迷さに困惑している若いひとたちのために一歩も引くまい。そんな気持ちでしたが、いつしか風が味方になってくれていたみたいで。少しでも住みやすい地域づくりのためヨウコさんの抵抗は深く静かに(笑)潜行中。
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