前のエピソード――第377話　冒険　🏓

　ええ、お恥ずかしい話を一席ご披露申し上げます。近ごろのヨウコさん、馴染みのカフェから足が遠のきがちだったのですよね～、じつは……。先週なんぞはついに一度も出向かず。今朝こそはと思っても、またあのいやな思いをするのかと思うと、ハンドルを別のカフェに向けていて。客足って、こうして遠のくのかと思ったりして。

　で、意を決して（笑）一週間ぶりに出かけてみたのですが、いつもはオーダー時に二言三言暑いとか寒いとかの挨拶を交わすところ、つい話しかけそびれていたら、珈琲を運んで来てくれたスタッフさんが気をつかってくださったもようで「蒸し暑くて眠れません。わたし、エアコンに弱いので、夜中に寒くなったりして困ります」と。

　で、同じ体質のヨウコさん、つい身を乗り出して「扇風機をエアコンの真向かいに置くといいみたいよ。わたしも除湿でも寒かったんだけど、それで解消した感じなの」ふと気づくと、ほかのお客さんそっちのけで空調談義を繰り広げておりました。前とうしろの席でスマホとパソコンに集中していたお若い方々、ごめんなさいね～。

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　で、あ、そっか～、ぱっかんと気づいたのです、いつも大声で長々とスタッフさんと世間話をする高齢女性客に対する疎ましさが募り、もはや限界に近いような気がしていましたが、な～んだ、自分だって同じ穴のムジナだったんじゃないのよ～と。で、無駄な神経戦（笑）はやめ、また淡々と通わせてもらおうと思い直しています。

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