第377話 冒険 🏓



 ある読み物で、俳句の宗匠についてたいへん興味深い記述を見つけました。大方の大御所の句がつまらなくなるのは弟子たちがみんなで褒めそやすからにほかならず。凡庸な句まで褒められ馴れているうちに低地安定に堕するのが人情の常だが、この方ばかりは句会の得点オールゼロの覚悟で新しい句風にチャレンジされつづけている。


 僭越ながら、少し経験を積むと平均的に好まれる傾向が自然にわかってきますが、それでよしとしたらいけないと新人ながらに思います。上記の宗匠は俳句番組で自ら句会を催すという危い(笑)試みを毎月なさっていて、冒険し過ぎて特選並選とも若手に持って行かれたりするのですが、朴訥に頬を染めていらっしゃってすてきです。


「あれは俳句番組ではなくエンタメ番組」と担当プロデューサー自身が位置づけている某局の帝王的な“指導”とは真逆。どちらを好むかは視聴者それぞれと思いますが、教訓とか押しつけとかが苦手なヨウコさんは、自身の師匠と同様に最新版の歳時記に数多の例句が掲載されている実力派宗匠の謙虚さ&チャレンジングに断然拍手です。




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