第304話 不都合な作品 🦦
太平洋戦時下で、軍や新聞社の要請に応じて国粋的な“制服作品”をたくさんつくった歌人や詩人たちが、戦後に編んだ個人全集から申し合せたようにそれらを省いた。斎藤茂吉、三好達治、高村光太郎、草野心平……揃って名のあるクリエイターたち。
かたや、ある女性詩人は「恥ずかしくてもまぎれもない自分の過去なので、不都合な作品も隠さない」として日和見の戦後批判を恐れなかった。それはのち本人が述懐しているように「社会の片隅の目立たない存在だったからこそ出来たこと」なのか。
あるいは彼我の底流の表出なのか判別はむずかしいが「人間は都合のいい部分だけ語りたがるもの。その象徴が勝者の言説の羅列である正史」との指摘は正鵠を射ている。一度だけお会いしたことがある先輩の、時を経てますます光る偉大な軌跡……。
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