第317話 「困る困る」のおばあさん 🧺



 哲学系のテレビ番組で「過去の集積であり未来の出発点でもある“現在”のみを見つめて生きる」大切さを説いていました。かつて精神科医にも何度も同じことを言われました。取り返せない過去を思い悩んだり、まだ起きてもいない未来への心配に心を惑わされるのでなく、今日一日を楽しく充実させて精いっぱい生きることですと。


 そういえば、若いころ「困る、困る」と将来への不安を訴えつづけて急逝した女性の話を紹介してくれた先輩がいました。起きるかどうか分からないことを先取りして案じる毎日が寿命を縮めたのだと……。たしかにそうだなと思いながらも、どこかで共感する気持ちも捨てきれなかったこと、数十年後のいまもはっきり覚えています。



      📚



 そんなとき、人は過去なしで生きられるものかをテーマにした小説を読みました。好みの純文学系でしたので、近ごろには珍しく寸暇を惜しんで(笑)読みつづけ、半身浴にも持参しましたが、分厚い文庫本の半ばあたりから、これはちょっとね……。どうしてこう後味のわるいものを書くかなあ。知らずに読む側のことも考えてよ~。


 それにつけても、人間の一生は限られていて生老病死を避けて通れないのですが、なぜそこへ天災や戦争などの余分な負荷を付け加えられねばならないのでしょうか。百歩ゆずって地球に住む身として自然災害は渋々甘受するにしても、人為の愚の骨頂である戦争は断じて受容できるものではなく、諸大国に有徳の為政者を待望します。




          🪣🧹  🪣🧹  🪣🧹  🪣🧹 




 

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