第203話 たったひとりの理解者 🎥



 封切から七十余年を経た今日なお世界的な評価が高い黒澤明監督の映画『生きる』ですが、まことに恥ずかしながらテレビ録画ではじめて拝観したヨウコさん。主演の志村喬さんが掠れ声で歌う『ゴンドラの唄』ばかり聞き覚えていて、こんなシリアスな内容だったとは知らなかったので、寝しなに観始めたら目が離せなくなりました。


 なんといいますか、緻密に計算された脚本&カメラアングル&登場人物それぞれのキャラ立ち……二時間余の上映時間が少しも長く感じられない作品は久しぶりです。いいものはいいんだね、日本語や風俗を知らなくても、純粋に映像の迫力だけで有無を言わせず万人を感動させるのだなと、芸術作品の真骨頂を見たように思いました。



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 そして、葬儀の席の無責任なうわさ話に抗し、糸ごんにゃくこと木村職員ひとりが市役所市民課ではんこばかりついていた市民課長の真心を愛惜する……なんかねえ、余命わずかな身で各課を奔走してまわり、ついに実現に至った新公園、そのブランコで凍死した志村喬さんになり代わり、ありがとうありがとうと言いたくなりました。




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