第162話 幼い微熱 🪼



 なんかね~、最近その手の番組を観るのが苦痛になって来たんですよね~。多分に偶然の要素が錯綜する短詩型界で、覇者然と動きまわる赤い唇や上等な和服が……。


 他者の作品に平気で手を入れてマウントを取っているようですが、たとえ若輩でもオリジナルな感覚を尊重すべきですし、美術品と同じく鑑賞は人それぞれでしょう。


 ある理由から決して使わない語彙だってあるかも知れないのに、他者の聖域にずかずかと……あれやらこれやらの思いが募りまして ← 冒頭につながります。(笑)



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 ハブ駅を中心に拓けた市街地からはるかに遠い隣村の、ほとんど山麓に使い場所に広大な敷地を確保して建てられた郊外型デパートはいまでいうショッピングモールのハシリだったでしょうか。こんな辺鄙なところに大丈夫なの? 大方の危惧をよそに見事な商業展開を見せ、シネマや文化センターも併設してにぎわいつづけています。


 仕事を引退して心身バランスをくずしたとき、半生を賭けた仕事に代わって夢中になれるものが欲しくて通い出したのがウクレレ教室でした。ギターとちがい指が短くてもハンディになりませんし、弦が少ないのでそこまで難しくなさそう。同期八人でスタートし、ワンクールの三か月で、ほぼ全員が基礎の弾き方をマスターしました。


 そこからたいていはツークールに進むのですが、ヨウコさんだけ独習の道を選んだのはかなりの額になる月謝が惜しい吝嗇ゆえ(笑)。ネットで楽譜を買って練習してみると、先生や同期の目を気にしないでいい分だけ気楽でさくさく進んでゆきます。ユーミンさん『卒業写真』平井堅さん『大きな古時計』文部省唱歌『故郷』……。



      🚴



 ことに危うい感じのスィング感に惹かれたのはスピッツさんの代表曲『空も飛べるはず』で、ドラマ『白線流し』の場面を思い浮かべながら弾き語りを楽しみました。放送当時、自分の青春はとうのむかしでしたが、個性豊かな登場人物に感情移入し、のちにはスタッフたちと行くカラオケでも十八番のひとつとして愛誦していました。


 一部に「♪ 幼い微熱を下げられないまま……」で始まる歌詞の意味が分からないという声があることは承知しており、え、なんで? こんなに詩的なフレーズはないじゃないと不思議でしたが、芸術は相対評価なのでそういう観方もあるのかな~と。じゃあ、分かりやすく「初恋の熱」とでもしたらいいわけ? とも思っていました。



      🌙



 ひとりだけメール参加の句会で拙句の曖昧性が話題になったと聞き、正直、愕然としました。「胸のうち明かさぬ別れ冬の月」の、胸を具体的に述べよというのです。「それを言っちゃあおしめえよ」と言ったのはフーテンの寅さんでしたが、たとえば恋心とか親心とかその他心とかを述べる方が不粋、というのがヨウコさんの感覚で。


 別の拙句「つつつつと涙の水脈や冬銀河」にも先輩会員から同様な駄目押しが出たそうです。型どおりの自然詠もいくつか詠んであったのですが、自分で納得できないものを評価されてもちっともうれしくないので、そちらを出さずこちらにしました。ただ、「涙の水脈」も、なぜ悲しいかも意味不明とされるとなると……。(;_;)/~~~




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