第189話 わたくし的小説執筆の醍醐味 🎞️



 阿久悠さんつながりで、もうひとつ。


 歴史上の人物をモデルにした中編をスタンバイさせ、長編を執筆中のヨウコさんの当初の悩みは「どうしてこう矛盾だらけの選択をするんだろうね」、自分自身の人生を棚に上げての素朴な問いかけでした。もっとスマートに生きられていたら、語り部として丸ごとファンになっていたのに、え?! ということばかりなんだもの。💦


 でも、あまり気乗りせぬまま(笑)書き進めていくと、ほんの少しずつ物語の深部に分け入って行けるようになって、資料の文字ヅラを目で追っていたときは気づかなかった出来事の真相&関わった人物のつながりや心理が見えて来るようになります。そうなると、当初の思いは雲散霧消していて、無理ないよ、惑いの結果だもの、と。



      🎹



「阿久悠さんの最高傑作は『青春時代』(森田公一とトップギャラン)」と言われたのは同業のなかにしれいさんだそうですが「青春時代が夢なんてあとから ほのぼの思うもの 青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり 胸にとげさすことばかり」なんて、恥多き過去を送って来た身には、まさにまさに!! という感じですよね~。


 冒頭の話にもどりますと、考えてみれば偉人伝ではないんですから、竜頭蛇尾とか矛盾の連続とか、ときにはちょっと阿呆じゃないの(笑)とかがあっても全然かまわないわけで、むしろ決して立派でない人間の懸命な足掻きの末に到達したゴールこそが尊いのですよね~。で、いまはその人物をそっくり受け入れている自分がいます。




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