第188話 演歌じゃダメですか~ 👘
モノ好きにもわざわざこの時期に(笑)北海道へひとり旅に出た友人がいました。『北の旅人』(石原裕次郎さん)でも気取るつもり? いい歳のセンチメンタリズムが可笑しかったのですが、彼の旅行中、北の天気予報がなんとなく気になって、ふと口を突いて出て来たのが雪の季節の定番『津軽海峡・冬景色』(石川さゆりさん)。
「♪ 上野発の夜行列車 おりた時から 青森駅は 雪の中……」だれも見ていないのをさいわい、パソコン音量をマックスにしてYouTubeカラオケをつけ、豪奢な振袖をまとったつもりで指の先から草履の先まで人気演歌歌手になりきったヨウコさん。北シリーズで『北の螢』も「山が泣く 風が泣く 少し……」もちろん森進一節で。
🎼
そういえば、いずれの曲も阿久悠さん&三木たかしさんのコンビなんですよね~。長くのこる歌謡曲はさすがの貫禄で耳&を心を印します。阿久悠さんにはほかにも「心が忘れたあのひとも」(『雨の慕情』)「壁ぎわに寝がえりうって」(『勝手にしやがれ』)「そばに誰かいないと」(『街の灯り』)などのフレーズが目白押し。
「昭和を代表する作詞王、否、昭和そのもの」の讃辞が鳴りやまない所以ですが……ここでまたしても脳裡をよぎるのが「ぷっ、なんか演歌みたい( ;∀;)」という拙句に投げられた、あざとい批評。まっさらの新人時代、二十数人の句会会場のどこかから飛んだ辛辣な言葉に身を竦めて赤くなり、そうか演歌は低級なのねと認識しました。
🏙️
でも、数年後のいまは思うのです、演歌のどこがいけないの? 人生を、人の心をこれほどきびしくやさしく的確に掬い取ってくれる音楽、そうはないんじゃないの? 「青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり」(森田公一さん作曲『青春時代』)のように迷いに迷った先に咲く花もあるんですから、咲かないうちに摘まないでね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます