第94話 ひきこもりラジオ 📻
丑三つ時に目ざめて(「しまい」という負の言葉は避けたい)テレビをつけると、NHK『みんなでひきこもりラジオ』九月二十九日中秋の名月放送の再放送でした。
ラジオ番組をテレビで再放送というのも不思議な感じですけど、それだけ視聴者の要望が多いということでしょう。あとで調べてみますと、当初は年に数回だったのが昨年春から月一になったもようです。ラジオなので終始担当アナのひとり語り、ひたすら投稿を紹介して、折々にリクエスト曲を挟むという、テレビらしからぬ形態で。
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メールやハガキ、Xで寄せられる切実な声は十代から六十代まで各年代にわたっていましたが、共通しているのは小中高校や職場、地域で傷つけられたことがトラウマになっていること。鈍感な人間集団がいかに残酷を働くかあらためて認識しました。
今回のテーマは「ごはんどうしてる?」でしたが、コンビニ弁当の孤食、だれかと食べるのが苦手、物価高で食欲もなくなった、つくってくれる母親に感謝などの声のうちでひときわ胸にひびいたのは「社会の役に立てない自分が惨めなとき、冷蔵庫の野菜をみじん切りにしてスープをつくる」という子なし専業主婦さんの投稿でした。
すぐに反響があって「役に立てないとは、いやな言葉ですね」……どこかの欲深い政治家が言い出した言葉が、ひとりの国民をこれほど追い詰めている、こんなことが許されていいの?! 多彩な全国民に幸福をもたらすのが真の
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ほかにも心ない言葉は心身のタフ(鈍感)な輩が圧倒的な力を握るこの列島に充満しているようで、たとえば「社会に出たくないから引き籠もっているんでしょう?」などは無神経の最たるものですが、なんと一部の医師まで加担しているらしく。(-"-)
そういう輩は自分は大いに役に立っているというへんな自信があるのでしょうが、心やさしい人たちを無用に傷つけているその時点でアウトですから。どういうかたちであれ人が一所懸命に生きていること自体が尊重されるべきであり、頼まれもしないのに他者を役に立つ秤にかけるなんぞは自分の暗愚を喧伝しているようなものです。
いま大手を振っている人たちも明日の運命は知れず、そのときになって繊細な生き物である人間の弱さ&尊さを知っても遅いこと、社会は強者だけのものではないし、それもいつ反転するか分からないこと……月一回の放送を楽しみにしている何十万人リスナーになりかわって吼え、美しくない惰眠を妨げてやりたくなりました。(笑)
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