第82話 ただに馴れきる 🦖
ヨウコさんはこのごろ思うのです、自分自身を含め人間ってすぐ馴れるんだね~、「慣れる」を通り越して安易な通俗に流れるのは、水が低きに向かうがごとく……。
その象徴がネットの恩恵です。居ながらにして読んだり書いたり自在に出来る社会が来るとは予想もしていなかったのに、いまは当たり前のように恩恵に浴している。
とりわけ毎日お世話になっているカクヨムさんへの感謝には汲めども尽きないものがありますが、ユーザーのわたしたちは、ついそのことを忘れがちだったりします。
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それよりもっと厄介だな~と実感するのは、生活の大半がいまだにアナログでありながら、おっかなびっくりネットの周縁にかろうじて止まっている端境期の人たち。
大丈夫ですよ~と手を差し伸べられて、ほとんど訳が分からないまま見様見真似でやってみたら、あら自分にも出来たじゃない?! ほんと、便利よね~ネットって。
そう言ってはしゃいでいるうちに手取り足取りしてもらったことはすっかり忘れてそこにいるのが当然の錯覚に陥り、アナログ・デジタルを超えるマナーも守れない。
いい例が便利このうえないオンライン句会。本来なら入門書で勉強し、結社の門を叩いて年会費を納めたうえで、主宰や諸先輩の句を拝見したり教えを請うたりする。
その段階を飛ばしていきなり無料のネットで初心者の句を披露できるのですから、世の中変わったといえばいえますが、手軽さの分、礼節も希薄になったような……。
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ネットといっても人間の集まりである以上、かげで働く人たちが当然いるわけで、なんでも無料サービスしてもらって当然という風潮の浅ましさにはほとほと閉口で。
それも本来なら人情の機微や人生の道理を熟知しているはずの世代に多く見られるご都合主義であってみれば、文化ならぬ文明のもたらす功罪を考えざるを得ません。
生まれたときからデジタル世界の若い世代はむしろその恩恵や約束事が当たり前に身についているように思われ、まあ、消えゆく過渡期のプロセスなのかなとも……。
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