第3話
王宮の中では、誰もが信じられない言葉が響いた。
「俺が欲しいのは……自由です。何もない土地と自由を下さい。」
「どういう事か説明をしてもらってもいいか?」
「もちろんです。俺は、冒険者を引退してひっそりと静かに暮らしたいんです。」
「ば、ば、バカな!お主は、唯一のSS冒険者なのだぞ!!そんな、事が許される訳がないではないかー!」
「…………もう、疲れたんですよ…。俺は、十分に国の為にやってきました。自由にしてください。」
「………ジーク。」
アントスが何かを言っていたが俺には何も聞こえなかった。
「………わかった。お主に土地をやろう。」
「これにて、謁見は終了とする。」
冒険者ギルド
「今、なんと言った?」
「冒険者を引退します。」
「…………」
「ギルドマスター今までお世話になりました。」
「ちょっと待て!冒険者を引退してこれからどうするんだ?お前にしか頼めない依頼だって沢山あるんだぞ!」
「今回の一件で、アントスがSランクに昇格しました。アントスだったら上手くやってくれますよ。」
「本当なのか?アントス?」
「はぁー。ジークにここまで言われたら答えない訳にはいかないよなぁー。」
「アントスは、俺と共に厳しい依頼だってやってこられたんだから大丈夫ですよ。」
「………ジーク。」
「俺は、残りの人生をのんびりと過ごします。」
「「お前、まだ#30歳__・__#だよな!」」
実は俺、まだ30歳なんだよね……。
最年少で#たった1人__・__#SSランクに上り詰めたのだった。
「ギルドマスター、ジークに何を言っても無駄ですよ。」
「はぁー。わかった。今までご苦労だったな。いつでも、冒険者復帰してもいいからな!」
「ありがとうございました。」
国境沿いにある森
「俺、確かに何もない土地をくれって言ったけど………ここ、漆黒の大地にある死の森じゃねぇーか!」
(隠居したいのに、住めるようにするには、時間がかかるぞ……)
まずは、川の近くに行く。
ここはやっぱりすごいな。魔獣のパラダイスか!
「俺じゃなきゃ死んでるぞ…。」
数年後
「大分、時間はかかったが一先ず住めるようになってきたかな。」
森を切り開き村サイズに住めるようにした。
畑や、田んぼなどを作り食料などを確保してなんとか形にすることが出来た。
「なんか、夢中でやってたけど楽しい!自由って素晴らしい!」
ある日、死の森に1人の魔神族が瀕死の状態で魔獣から逃げていた。
「も、もう、無理……。私は、ここで死ぬのね……」
ポロッと涙が出た。
そして、意識を失ったのだった。
「おい!おい!大丈夫か?」
「うぅ~うん。私は、い、生きてるの?ここは、何処?」
「ここは、俺の村だ。って言っても俺しか住んでないけどな!」
「貴方、誰!?」
「俺は、ジークだ!あんたの名は?」
「……ステイ。魔神族よ。」
「ステイか!もう大丈夫か?回復魔法はしたけど、もう少し寝てた方がいいぞ。」
「魔神族の私に回復魔法をしたの?……何で!」
「えっ?ダメだった?あのままだと死んでたぞ?」
「人族の貴方が何で魔神族の私なんかを助けるのよ!」
「俺が、助けたかったから。」
ニコッ。
「本気で言ってるの?人族は魔神族が嫌いじゃない。」
「俺は、好きだよ?魔神族にも友達がいるし!人族の中には差別するやつもいるけどな。俺は、違う。」
「変な人ね。あなた一人で住んでるって言ってたけど、ここは何処?」
「ここは、#死の森の真ん中__・__#らへんだよ。」
「!!」
「いや~ここまで住めるようになるまで1年半もかかっちゃったよ~。」
「貴方、何者?」
「俺は、元冒険者さ!」
「あははは、貴方面白いわね!私も、ここで住まわせて!」
「いいよ!よろしくな!ステイ!」
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