第5話 青い火事

「よっ呼んだよ。」

ユウの顔が少し歪む。

「外を見ろ。菊にはあれがドラマ撮影かなんかに見えんのか?どう考えても火事だろ。」

(火…事?)

外を見ると建物が青い炎とともに赤い炎にも包まれ、煙が上がっていた。しかもあの場所…

「宮野さんの、家…?」

「おい!嘘だろ菊!!」

捨てられていた僕をここまで育ててくれた里親の家が燃えている。

(あー。炎って結構眩しいんだな。中にいたらすげー暑いじゃん。くれはは大丈夫なのかな。くれは、紅巴!!!)

「僕、ちょっと行ってくる。すぐ戻るからユウはこの家の人達と避難して。」

ユウが何かを察し無茶だけはするなよと言って去って行った。

紅巴、僕の義妹…同じ里親のところで育てられた、僕の!

「はっはァっ…くッ、スーっ紅巴ーー!!宮野さァァん!!いっ生きてたら返事っしてくださぁぁい゛」

「……」

(返事はないか。あとどのくらいで消防車は来る?間に合わない。やっぱり入るしか。)

「おいっ少年!何をしてるんだ!!危ないじゃないか。」

(クソっもうこんなに人が集まってる。

みんながもう避難もしくは最初から家にいない可能性だってある。どうすれば。)

「兄ちゃん…お兄ちゃん!!助けて!」

(っ紅巴の声!?絶対に助ける。何を犠牲にしてもったとえ、例え宮野さんが助からなくても、紅巴だけはっ!!)

いつの間に紅巴が目の前にいて自分の体はボロボロになっていた。

(んっ?!いつの間に!!いやそれよりも。)

「大丈夫か。紅巴!」

なんだこれ…?紅巴には傷1つなく青い炎が彼女を包んでいた。

「助けて。」

助けを求めるかすれた義妹の声。

「ああ。兄ちゃんがぜってー助けてやっ」

「違う!詩ちゃんを、お義母さんを助けてェ!!!」

炎の隙間から宮野さんを抱える紅巴の姿が見える。

(ああ。宮野さんを助けなきゃ。何故か紅巴には怪我がないし先に宮野さんを)

熱い、息が苦しい!肺がっ焼き切れそうだっ!!皮膚も熱でただれてきている。

「はっはぁっもう大丈夫ですよ。宮野さん!!…あれ…く、れは?」

僕が抱き抱えていたのは宮野さんではなく気絶した紅巴だった。

「えっ?あれ…なんで??」

困惑してると後ろから救急隊員のような人が駆けつけてきた。

「君!!すごい怪我じゃないか!」

「あっあの!女の人は救助されてませんか?!えと髪が肩ぐらいのっ!!ヒュっ息っがくるしっ」

酸欠で呼吸困難になったのか。クソっ意識が保て、ない。

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恋に満ちる @huru0502

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