第3話 強制お泊まり会(1)
「で?ユウのことだし、なんの理由もなしに僕を誘拐したわけじゃないだろ。」
菊は家に帰ることを諦めたようで、祐介の家のソファに腰をかけた。
「いやぁ、まぁ。ちょいと気になったことがあって、調べたくてな。準備するから少し待っててくれ。」
「おっけー」
軽く返事をして僕はユウの部屋を見回した。
(まぁた新しい機材増えた。)
祐介の自室は畳と障子で埋められたザ・和室のくせに最新パソコンや、ゲーム機など見たこともないような機材が沢山ある。
「では!菊さん、質問に答えてもらいますね。」
と言うと祐介はどこから取り出したか分からない白衣と眼鏡をつけた。
「では始めに菊さんの能力をもう一度ご説明いただけますか?」
(ああ、なるほど。だから僕のためのお泊まり。)
「僕の能力は…」
そう僕は異能力者だ。
水平線?のような永遠に続く海と人1人、生き物一ついない廃墟だらけの世界を行き来できる。
能力に気づいたのは小学生のとき、どこか遠くに行きたい。誰もいないとても遠い場所に。と念じた。そしたら、そう。あの世界の裏側に落ちた。
裏世界。僕はそう呼んでいる。最初上空から世界の裏側に落とされている時に見た、見慣れた街やビルと浅い水の組み合わせが神秘的に見えたからだ。はじめは、綺麗だなと感動してたけどだんだんと不安になっていった。何たって僕は、臆病で弱虫でネガティブ!1人、知らない場所。それを自覚した瞬間怖くて震えが止まらなかった。まっ5分ぐらいで戻ってきたんだけどね。その後もよくこの能力を使って逃げた。すると、だんだん能力に慣れたのか世界の裏側にいれる時間が長くなっていった。
祐介に簡単に能力の詳細を伝えると頷きながらパソコンに打ち込んだ。
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