第2話 祐介の策略
「重松でーす。」
ビルやマンションが立ち並ぶ中一際目立つ寺。ピンポンダッシュでもしたら天罰が下ってしまいそうなほどの威厳のある親友の家。さっきから何度もインターホンを押しているのに一向に出てくる気配がない…周りの人の視線がいやというほど刺さる。
(ああ、もう!早く出てきてくれ!これ以上は心臓が持たん!)
帰ろうと足を1歩踏み出した途端、後ろのドアが勢いよく開かれた。
「やっほー。やっと来たね!菊。」
「それはこっちのセリフなんだけど?」
左手にゲームを持ったユウは呑気に右手に抱えたポテチの袋を僕に寄越した。
「まぁまぁ、そんなに怒りなさんな。今回のお泊まりは、ほぼお前のためなんだから♡」
「はぁー?!お泊まりなんて僕聞いてないんだけど???」
(クソゥ騙された。そもそも最初からおかしかったんだ。わざわざ僕に行くか聞いてくるなんて!ユウの家の門を見た時違和感があった。何百回もユウの家には行っているはずなのに今日はすごく久しぶりに感じた...何故か!それはいつも気が付いたらユウの家にいたから。僕の意思、都合関係なしにこいつは家に僕を連れ込む。てか今思うとユウいつもものすごいことしてないか?拉致監禁だ。誘拐だ。犯罪だ!)
(とか思ってそうだなぁ。こいつ。)
ころころ変わる菊の表情から思考を読み取るのは親友であり、幼馴染である祐介にとっては安易なことであった。
(てかこの方法に引っかかることこそ何百回目だよ!)
そして重松菊はこのお泊まり強制作戦に全く同じ手法で何回も引っかかっていたのだ。
「僕は!帰る!!」
顔をパンパンに膨らませて、不機嫌全開の菊は帰り道に向けて2歩目を踏み出した。が祐介によってずるずると家の中に引き込まれるのであった。
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