第8+11話 春はすぐそこ……
//SE 引き戸式の玄関を開ける音
//SE 鳥のさえずり
「ん~~、今日もいい天気だなぁ。でも、まだ寒いや……」
//SE 靴を履く音
「おっ、準備できた? じゃあ行こっか♪」
//SE 草を踏み歩く音
//SE ニホンミツバチの羽音
「おうおう、今日も元気に頑張ってるねぇ」
//SE ニホンミツバチの羽音(近づいてくる)
「ははっ、そんなに飛んでないけどやっぱり防護服があった方が良かった? ニホンミツバチさんも久しぶりに巣箱からでてきて嬉しいのかもね♪」
「ふふっ、すごいよね! まだ2月だっていうのにニホンミツバチさん達はもう働き始めるんだよ。今の時期だと梅の花の蜜を集めたりしてるからきっとじいちゃんの庭にでもお邪魔してるんじゃないかな?」
「こうやってまた巣の中の活動が始まって女王蜂も産卵を始める。そしてまたたくさんの働き蜂達がこの庭をたくさん飛び回ってくれると思うよ」
//SE 草を踏み歩いて近づく音
「ねぇ……いい加減その蜂谷さんって呼び方……やめにしない?」
「だってもうすぐ1年も経つんだぞ? いつまでもそんなよそよそしい呼び方は……ちょっと……」
「は……はっちー? って……ん~~、何か……びみょー」 /不満そうな表情で
「なんかさぁ、安直じゃない? ……しかもはっちーだと
「ほらっ、よくあるじゃん! うっかり別の女の名前言って浮気がバレるって! ……まさか浮気してるんじゃないでしょうねぇ?」 /問い詰めるように
「……なら、いいけど……」
//SE 草を踏み歩いて離れる音
「え? じゃあ、どんな呼び方が良いかって? う~~ん……あっ」
「あ、あややって呼んでほしい。昔からよく友達に呼ばれてたあ、あだ名なんだ。な、名前は
「べ、別にあ、
「分かった……じゃあ、
「んっ、こ~~ら! さんは付けなくていいの! 呼び捨てで……大丈夫だから」
「うんうん! それで良いよ!」 /満足そうに
「さてさて……でも養蜂の仕事も2年目になったことだし、これから春になる前にミツバチダンスを習得してもらいます!」
「ん? ミツバチダンスって何かって? ふふんっ、ミツバチダンスっていうのはねぇニホンミツバチさん同士が花の位置や新しい巣の場所を伝達するためのダンスなのだぁ!」 /誇らしげに
「そのダンスを習得すると
「そうそう♪ ミツバチダンスでは色んなことが伝えられる……って何してんの?」
//SE 草を踏み歩く音
「踊ってるって……それは見たらわかるけど」
「えっ、あたしに何か伝えようとしてるのか!? う、う
う~~ん……何だろう……わかんない」 /怪訝な表情で
//SE 草を踏み歩いて近づく音
「えっ……何?」
「………………」
//SE 慌てて離れる音
「う、うえぇえ!? ちょ、そ、そんなの分かんないし! み、ミツバチダンスはきゅ、求愛のダンスじゃ……ないし……」 /顔を赤らめる
「でも……ありがとう。嬉しい♪」
//SE 草を踏み歩いて近づく音
「じゃあ……あたしもあとでミツバチダンス踊っちゃおっかな? あの洋服で」
「ふふっ♪ 楽しみにしててね」
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