第8+4話 オオスズメバチ退治


 //SE ニホンミツバチの羽音

 


 「よしっ、じゃあ今日のニホンミツバチさんのお世話も終わりにしよっか! 今日もお疲れ様!! 先にお家に帰ってていいよ」



 「え? あたし? あたしは今日はこの後用事があるから……」



 「で、デートって……そんなんじゃないよ」 /少し焦った様子で



 //SE 草を踏み歩く音



 「何で付いて来るの? 遊びに行くんじゃないぞ?」



 //SE 軽トラの扉を開けて閉める音



 「ん? どこに行くのかって……オオスズメバチ退治。今日はじいちゃんのアシスタントとして近所の家に作られたオオスズメバチの巣を駆除するんだ」



 「い、一緒に行くって……危ないから来ない方がいいぞ? オオスズメバチは刺されると大変なことになっちゃうからね!」



 「もう。しょうがないなぁ……じゃあちゃんとあたしの言うこと聞くんだぞ? 秋のオオスズメバチは狂暴だからね!」



 「うんうん♪ それじゃあ、出発~~!!」



 //SE 軽トラが出発する音






 ♦ ♦ ♦






 //SE 軽トラが到着した音

 //SE 軽トラの扉を開けて閉める音



 「お待たせ! ごめんじいちゃん、この子もオオスズメバチ退治に行きたいって言うんだけど……いい?」



 「ありがと、じいちゃん!」



 「じゃあ、危なくないように防護服を着てあたしの後ろに隠れてるんだぞ? ん、何? じいちゃん……」



 「だ~~からこの子は婿じゃないんだってば!! ……もう」 /少し焦りながら





 

 ♦ ♦ ♦






 //SE オオスズメバチの羽音



 「うわぁ、結構いるなぁ……。ねっ、すごい数でしょ? あたし達はじいちゃんの邪魔にならないように軽トラの近くにいようね」



 //SE オオスズメバチの羽音



 「…………あの、さ」



 「も、もしもの話なんだけどさ。もしキミがあたしと結婚してこの山にす、住むとしたら……ど、どう?」



 「い、いや!! もしもの話だったら! ほ、ほらっ……今どきの子はこういう田舎で暮らすのはどうなのかなぁ……なんて。ちょ、ちょっと思った……だけ」



 「え? あたしとならここで暮らしてても楽しいかもしれないって? ふ……ふふっ♪ そ、そっかぁ……♪」 /嬉しそうににやけながら



 「べ、別に喜んでないったら!! ……あ、じいちゃんが何か合図してる。ごめんじいちゃん今持って行くねーー!」



 //SE 走り去ってゆく音






 ♦ ♦ ♦

 





 //BGM 帰り道の軽トラの車内



 「いやぁ……すごかったなぁ、さっすがじいちゃん!! あっという間に駆除しちゃってたね!」



 「なんかごめんね……。やっぱり怖がらせちゃったかな? あたし毎年オオスズメバチの駆除手伝ってるから多少は慣れたけど……やっぱ怖かったよね?」



 「え? いつもとあんまり変わらないから大丈夫だって? こらっ!! ……それはそれでお姉さん傷つくぞ? ニホンミツバチさんの羽音と区別がついてないってことじゃないか! オオスズメバチやキイロスズメバチはニホンミツバチさんの天敵だからニホンミツバチさん達とは全然違うんだよ? ニホンミツバチさん達は奴らに狙われちゃう存在なんだから!」



 「でも、ニホンミツバチさん達はそんな狂暴蜂たちと戦うための素晴らしい必殺技を持っているのです」



 「その名も、熱殺蜂球ねっさつほうきゅう!!」



 「うんうん♪ なんか必殺技って感じでかっこいいっしょ? 熱殺蜂球ねっさつほうきゅうは大量のニホンミツバチさんが1匹のオオスズメバチを囲んで高速に羽を動かして温度を上げてオオスズメバチを蒸し殺す技なんだよ」



 「ただねぇ、この技ねぇ……諸刃の剣なのよ。この技に参加したニホンミツバチさん達はその代償として寿命が短くなっちゃうの……。ううっ、可哀想なニホンミツバチさん達……」



 「だから毎年こうやってニホンミツバチさん達がやられないようにあいつらの活動が活発になる秋にはじいちゃんに退治してもらってるんだ。あたしの養蜂場のニホンミツバチさんだけじゃなくて山道も近くて山に来た人も危ないしね」






 ♦ ♦ ♦






 //SE テーブルに皿を置く音



 「お、お待たせ……ほ、本当に食べるの? そ、その……蜂の子」



 「一度食べてみたかったって……勇気あるなぁ」



 「あ、あたしは絶対無理!! い、今だって素揚げにしてるときに……な、なんか目が合ったような気がして……ああっ、見てるだけで怖いっ!!」 /思わず蜂の子の素揚げから目を背ける 



 「お、女の子みたいですねって……あたしは女だ!! 今まであたしのことどう見えてたわけ!?」



 「まったく……デリカシーがないんだから」 /少しむくれた顔で



 「え? な、何??」



 //SE テーブルから離れていく足音



 「い、いやいや!! ……や、やだったら!! ……ああ、ち、近づけないでぇ!! 顔の方をこっちに向けないでぇ!!」



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