第9話 ナイトからの誘い
――え? あ、そっか。確かに “納豆の日” か。 俺は“
――えー? ナイトの日? あはは。その語呂合わせは苦しいよー?
――やっぱり? 笹原の誕生日知った時の俺は小学生だったからなー。俺が笹原のナイトになる! って、密かに意気込んでたw
――え?
彼の返信文に、私の胸がドクンと跳ねた。それってつまり……
――あ、笹原。今、彼氏とかいる? もし……もしよかったら、今度の河川敷の花火大会、一緒に行かない?
私は、ドキドキしながら返信した。
――うん! 行きたい!
五年越しの花火大会の約束。今度こそ、彼と一緒に行きたい。懐かしさと共に、ドキドキとさらに胸が高鳴ってくる。
――よかった! あ、今回は……他に誰も誘ってないけど……
いいかな。
――うん! じゃあ、浴衣着て行っても、いい?
――もちろん! 楽しみにしてる。
それはまるで、恋人同士のような会話で。その後も、彼とは話が尽きることなく夜が明けるまで話した。
その日からやりとりは毎日になって、LINKを交換するようになって。
そしてやがて通話するようになって……昔よりオトナになった彼の声に、ドキドキした。
そうして迎えた花火大会当日。
五年経ってもやっぱり私はお昼頃からそわそわしてて、むしろ五年ぶりの再会に、嬉しさと不安が入り混じったような変な感覚で。だけど彼に早く会いたくて何度も何度も時計の針を見つめては、ちっとも進まない時計の針にちょっと文句を言ってみたりして。
――やっと迎えた約束の時間の少し前。
先に待ち合わせ場所に着いたのは私だった。けれど彼もすぐに来て、五年ぶりの再会なのに人混みに紛れる彼の姿だけが、ふわっと光に包まれてるみたいに見えて。自然とお互い笑顔で手を振った。
「久しぶり」
「うん、久しぶり」
そう言葉を交わしながら、不思議と心は穏やかで。心の中のもうひとりの私が、“やっと会えたね” そう、言ってるような気がした。
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