第4話 終わりの始まり
イルが真面目な顔つきで「ジョン、2000年前って言うけど、時間なんてあっという間に過ぎる。時間という概念は2000年の砂時計の1分でも今の電子時計の1分も同じだ。ただ1分の価値は、時間を使っているその人間の状況で変わるだけだ。」「イル、時間の概念はさておき、本題を頼む。2000年前の僕の事を教えてくれ。」「そうだな。また話がずれてしまった。戻そう。ジョン、君は2000 年前のMAの王子だった。さっきも言ったがあの時、君は僕の力を使ってタイムトラベルをした。ジョン何も覚えていないのか?」僕はあっさり「残念ながらなにも覚えていない。」「そうか、ひどい戦だったからな。さっき言ったように、敵は月の部隊。この地球の宝、”海“を頂きにきた。その当時、今と違って月には水も空も太陽の光りも緑もあった。今と違い、宇宙には太陽が大小さまざまだが、意外とたくさんあった。そのため星は今以上にどの星も発展し豊かで穏やかだった。しかし、同じことは、ずーっと続かない、どの時代もそうさ。人間も天候も宇宙もみんな動いている。でその宇宙の転換期は突然来た。エネルギーの源の太陽が消滅していった。豊かだった月の物質がなくなっていった。科学でも対抗できなかった。さっき地球に突入前に月を見て来たけど、あれはひどいね。変わりすぎ。乾ききった砂しかない。あれじゃ生命体は住めない。2000年前はとてもキラキラ輝いていて、今のこの青い地球より濃い青色できれいな星だったけどな。」「イル、僕には想像できないや。アポロの月面着陸の映像が50年以上たった今でもこの地球の人間の脳に刻まれていて、そこから抜け出せないよ。」イルは「それだ。その画像で地球人の脳のコントロールしたんだ。やっぱり、やり方が汚いな。宇宙海賊系が関与しているに違いない。」僕は、そんな宇宙海賊よりも2000年前の自分が気になってしょうがない。「イル、話をずらさないでくれ。こう見えて僕はせっかちだ。早く僕を僕のことを教えてくれ。」「わるい、ジョン今度こそ本題に入るがその前に地球のネットで今ググった情報だ。地球のJapan の昔からある話の”かぐや姫“ジョンは知ってる?」「話は知ってる。」「じゃ、ジョン月の姫のことは覚えている?」「覚えていない。」イルは少し残念そうに「あんなにジョンは、彼女のことを愛していたのに。ジョンのその腕の長い傷も彼女を守ってできたものだよ。」僕はTシャッの袖をあげて傷跡、茶色の線を手でなぞった。「イル、残念だが、全く記憶がない。」「その傷は、ジョンのMAの兵士が月の姫をセイバーで切りつけたのをかばってできたんだよ。ジョン、これでも覚えていないのか?」「イルだめだ。思い出せない。」「そうか。」イルは、話を続けた。「ジョン、君と彼女は敵同士。いくら愛しあっても、あの、2000年前の世界では永遠に2人は結ばれることはない状況だった。あの気候変動前は、MAも月も近いこともあり、良い友好関係だったんだ。星同士の行き来も頻繁で。しかしだんだん、宇宙全体の星の格差が大きくなり、富を手にした星は、時間空間をもたくさんもち、1次元にとどまらず、その星自体の中心さえも、どの次元にあるのかさえ星の住人さえもわからなくなるほど巨大化していき、多次元化していった。」「イル、それは宇宙は星と時空空間とが飽和状態の限界に達していたって感じ?」「ジョン、理解が早いな。そうだ、その通りだ。で、ジョン話を戻すぞ、あの時は、まさに宇宙の星達の変換期。自身の星をよりよい星にするために各星の王達は”奪えるものは奪え“の野蛮人的スローガンの元に戦いが、あちらこちらであった。その戦いに月とM Aも巻き込まれていった。そして自身の太陽の消滅により月は、焦っていた。MAの海を奪うため攻撃を開始した。想像できないかもしれないが月はとてつもなく強かった。MAは消滅寸前。そこでMAの王子ジョンが僕を呼んだのさ。「愛する人と戦いたくない。助けてくれ。ってね。」「えっ、そんなこと言ったんだ。でも自分で言うのも情けないけど、そこはMAの王子らしく、”MA”を救ってくれーって言った方がよくない?今更、自分に言ってもしょうがないけどね。」「だね。でもジョン、君は月の姫を選んだんだ。まだ思い出せないかな。」イルの体がメタリックスライムに変わった。「月の姫の名はナシル。」名前を聞いた途端、僕の中のもう一人の僕が目覚めた。2000年の時間をさかのぼった。「ナシル、君は、今どこ?」
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