第2話 星人イル

イルは見かけは僕ら地球人、人間と変わらない姿だ。ほんとは、メタリックスライムだ。便宜上、イケメンの少年の姿に変身している。「ジョン、この姿で、どうだ。いいか?」僕は変身したイルを見て。「イル結構いけてるよ。女子達が喜びそうだ。」「女子ね。」イルは特段うれしそうもなかった。「イル、君の星では女子にもてることは、いいことじゃないのか?」「そうだな、ジョン、この地球では、性別があるようだが、他の星じゃ、ほら僕の本当の姿のメタリックスライム、いわゆるスライムが多い。スライムはどんな形状にもなれるから性別もない。好きな姿形になれるし、生命体の構造が人間よりもっとシンプルだ。」「イル、それを聞くとかなり君たちや外の星たちの住人は進化系だね。」「まあ、ね。この星が地球が止まっているだけだよ。」「へーえ、そうなんだ。」「それに、この地球の大気圏には何か呪文のようなバリアが張り巡らされていた。ジョンに呼ばれて地球に突入するとき、うまくワープできず何かバリアにぶつかって大きく光が、はじかれた。ジョン、夜空で爆発みたいな光、出てなかった?」「そういえば、いつもの流れ星とは違って、確かに大きく光ってた。」「ジョン、あくまでもこれは僕の憶測だけど、この地球は未発達な星だ。それはあくまで表向きで本当は、この地球には、ものすごい宝物があるとか?ジョン、何か聞いたことはないかい?」「宝物ね。」イルは少し考えているようだった。僕はイルがさっき言っていた脳内侵入を試みた。口、音は使わずに会話する、宇宙の主流で。「イル、特別な宝物?小さな宝物は各地に点在しているみたいだけど、宇宙を拒むほどの大きな宝物がこの地球にある?っては聞いたことが無いよ。」「ジョン、思い出してくれ。多分あるはずだ。僕がこうして呼ばれたのが事実だ。」「イル、どういうことだ。ジョン、僕は星人だ。時間を自由に移動できる星人だ。僕の生業、仕事は、言っていなかったが”お宝ハンターだ”」「お宝ハンター?イル、冗談はやめてくれ。お宝ハンター?まるでマンガみたいだ。イルが目の前にいるだけでも十分マンガの世界だけど、お宝?イル、君もしかしたら中二病?」「ジョン、ごまかすのは、やめてくれ。僕は真面目に話している。僕は色んな星へ、色んな時代、いろんな時間軸に飛んでいる。ただし、そこには宝が必ずあるんだ。逆を言うと宝に呼ばれるって言った方が正解かもしれない。それに初めての人からは、高貴な僕は呼ばれない。一度、過去に会ったことのある人でないと僕を呼ぶことができない。ジョン、君と一度僕とは、過去に会っているはずだ。もしかしたら地球の前にあったMAの住人だった可能性が高い。多分間違いない。」「イル、僕は生まれ変わりだとか、前世なんて信じたことはないよ。そんな僕に過去の文明MAの住人だったとか言われても何を根拠に信じればいいのか?僕は合理主義の現実派だよ。」イルは明らかに何か不思議な能力を使いはじめた。光がイルを包み。「わかった。ジョン、左腕に傷がないか?20cmほどの刀傷。」「刀傷は、ないけど左腕に20cmぐらいの茶色いシミのような傷跡はあるよ。」僕は傷跡をイルに見せた。「これだ。地球時間で約2000年ほど前にMAは衛星の月と戦があった。」「月に人が?」「そうだ、月には生命体がいた。とても進んだ文明を持っていた。MAも手こずるほど頭脳明晰の星人が住んでいた。その彼らもMAの宝を欲しがっていた。そしてあの時もジョン、君が僕を呼んだんだ。宝の20%を報酬としてMAの防衛を頼むと。僕らは星の危機に活躍する星人。コメタ星人。ジョン、その傷はあの敵と戦ったときについた傷だ。」「イル、君の話は飛躍しすぎて、ついていけない。理解するのに時間が必要のようだ。ただ、この左腕の傷と今脳内で会話していることは事実だと受け止める。しかし、イル、脳内を整理させてくれ。2000年眠っていた自分を起こすのも僕にとっては大変な作業だ。」

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