第26話 嬉しい悩み
生きている限り、爪や髪が伸びるように、悩み事というのは尽きなくて困る。爪や髪ならば切ればいいけど、悩み事とはそう簡単には解決できないものだ。いつまでも心のなかにわだかまっている。考え方を変えるか、忘れるしか解決方法のない場合が一番苦しい。
そんなときに本を読んだり音楽を聴いたりする。
他人の脳とはこうも自分とは違うのかと、驚かされる。こんなにも世界的に有名なアーティストの歌詞が、まるで僕のことを言っているかのように感じたり、逆に、とんでもない世界に連れていったりしてくれる。だから芸術は好きだ。絵画や詩歌も。
僕は、受けとる側ではなく発信する側になれたらいいなと思う。毎日をそれなりに必死に生きている人に、少しでも癒しや笑いを与えられたなら。
そんなことを毎日思う。考えている。僕は生きているうちに、どれだけのものを書けるだろう。与えられるだろう。この悩みは尽きない。尽きなくていい悩みもあるんだと、僕は知っている。
『悩』と『脳』の漢字は似ている。部首がこころ(りっしんべん)か、にくづきかの違いだ。そこになんらかの物語が生まれそうな気配がする。病身の僕には難しいことどころか、ちょっとしたことすら、考え続けるのがしんどくて、短い変な文章だったり、過去に仕上げた物語を順次公開するしか出来ない。少し、悔しい。けれど、今一番の悔しさが『書けないこと』だなんて、なんて幸せな人生だろう。
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