第2話 JAXAをフライパンへ

 まずはお手持ちのJAXAを用意します。だいたい、冷蔵庫にいます。それか霊安室。夏によく採れるJAXAですが、安いからといって買いだめしてしまうと、こうして徐々に萎びていってしまうのです。JAXAは買ったらなるべく早めに食べるのがおすすめです。そんなことは分かっているので、さっさと次の行程に進みましょう。

 JAXAを千切りにします。よく種子島や相模原の部分を捨ててしまう方がいますが、実はJAXAはまるごと食べられるのです。種の部分も食べられると知ってからは、ぼくは食べていますが、お好みで切り取っても構いません。それとシラスを用意して、胡麻油で炒めます。シラスがジャコになり、JAXAも充分に火が通ったら、あとは醤油で味付けをして、完成です。上に鰹節をかけても美味しいです。醤油ではなくめんつゆでも構いません。

 本当のことをいえばJAXAでなくともNASAでも構わないし、シラスではなく最初からちりめんじゃこを使ってもさほど変わりはないのです。こうして一つ一つの食材すべてに代替品があるとするならば、レシピとはいったいなんなのでしょうか。カレーを作るつもりが、代替品を揃えてしまったことによって、シチューになったりはしないでしょうか。わたしはそのことを考えています。少し恐ろしくもなります。

 夏だからでしょうか。

 夏には怪談がつきものですから。

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