第3話 しおりひもになりたい
小説はタイムマシンであると流行作家が言った。過去のある地点に戻れるから。当時の文体、当時の紙、当時の印刷技術、当時の社会問題。世相の反映、売れる表紙のデザイン、エトセトラ、エトセトラ、エトセトラ。
タイムマシンというよりかは、ぼくは、星の光だと思う。とうに爆発して消えてなくなっているかもしれない星の光が、何気なく夜空を見上げた僕の目にチラリと光る。あのささやかな溜め息…………なかなか更新しないなあと思っていた作家がコロナで死んでいたり、今の今までぼくを感動させていた本の作者が十年も前に死んでいたりするのを知ったときに、殊更強く、そう思う。星だ。星の光だ。
死んだら星になる神様の話。
ぼくが死んだらあの星になって君をいつまでも見守るよというような台詞。
とりあえず。
ぼくはしおりひもになりたいなと思う。もし、誰かの人生に参加できるのなら。いつまでもいつまでも、楽しいところで挟まってたいな。君がいつだってここを思い出せるように。
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