キャッチコピーからすぐに山月記を念頭に本作を読ませてもらいました。ただし、本作の主人公は羞恥心も自尊心もあるようですが、それは尊大や臆病と言えるほど、肥大しているようでもないですし、李徴のような才能もないと書かれています。それだけ卑近な存在として、等身大として、いるようで、でもそうではない。才能や情熱の足らない自身の凡庸さを、異常なまでに呪い、非凡であることを強く妬む。それこそ「尊大な嫉妬心」とでも言えるほど。平凡であることそれってそんなにつらいのかな?
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(142文字)