パンツ大好きおじさん&おばさんの闘い
ユダカソ
パンツ大好きおじさん&おばさんの闘い
「いっけな〜い!遅刻遅刻〜〜!」
汚れひとつ無い綺麗なパンツを咥えたおばさんが朝から走っていた。
どんっ
「きゃー!」
曲がり角で勢いよく誰かにぶつかってしまい、おばさんの口からパンツが落ちてしまった。
「いてて……。すみません!ぶつかってしまって……」
「いえ、大丈夫です。それよりこれを落としましたよ。」
見上げると、紳士的な眼鏡のおじさんがにこやかにパンツを差し出していた。
「ありがとうございます!」
おばさんは頭を下げた。
おじさんはパンツをおばさんに手渡しながら尋ねた。
「もしかして、あなたもパンツ愛好家ですか?」
「え?……まさか、あなたも?」
奇遇ですね、と微笑みながらおじさんは頷いた。
こんなところで同志に出会えるとは、感動でおばさんは舞い上がった。
「パンツの良さをわかってくれる人がいるとは!やっぱりいいものですよね、パンツは!」
うんうん、とおじさんもにこやかに相槌を打った。
「ええ、私は特に汗などの体液が染み付いたパンツをシャブ(※)るのが特に大好きです。」
(※シャブシャブにして食べるの動詞)
「えっ汗……?使用済みパンツ派なんですね。」
「えっ?違うんですか?」
お互い顔を見合わせた。
もしや同志であって同志ではない?不安が二人の心を包む。
「失礼ですが、あなたは一体どんなパンツをお好みなんですか?」
おじさんが恐る恐る尋ねた。
おばさんは己の趣味を丁寧に説明した。
「私は幼女大好きおばさん。非実在性女子児童のパンツが大好きです。女子児童用パンツを買ってきて、架空の幼女が穿いたパンツと思い込んでパンツで遊んだり拝んだりします。」
「えっ……?!幼女…………?!」
おじさんは明らかに引いていた。
「穢らわしい!何考えてるんですか!?この変態!」
おじさんは罵り始めた。
どうやらパンツの解釈が違ったらしい。
「そんな!同じパンツ愛好家じゃないですか!酷いですよ!あなたは幼女のパンツに興味が無いんですか?!」
「あるわけないでしょう!この薄汚い犯罪者めが!」
おじさんは思い切り幼女大好きおばさんを罵った。
「!? 私は犯罪者ではありません。実在の幼女の安全を脅かすことはしていませんから。ただ架空の幼女のパンツを愛でているだけです。」
おばさんは弁明したが、おじさんは軽蔑の眼差しを逸らすことはなかった。
「いいえ、あなたは存在するだけで実在する女子児童を脅かしています。このロリコン!死になさい。」
おじさんは幼女大好きおばさんの死を望んだ。
「私は実在する女子児童には何もしていません!セクハラもしていませんし近づくこともありません。何故、同じパンツ愛好家なのにそんなに私を攻撃するのですか?」
「同じパンツ愛好家でもロリコンは別です。私は性犯罪を許さない。」
おじさんは毅然とした態度でおばさんを睨みつけた。
幼女大好きおばさんも負けじと反論した。
「私も性犯罪を許していません。それに私はロリコンですが性犯罪者ではない。」
「ロリコンは性犯罪者」
もはや何を言っても聞かないおじさんに、幼女大好きおばさんは聞き返した。
「でも、あなたは使用済みパンツ派なんでしょう?私は架空の女子児童のパンツを好みますが、あなたは一体どんな人のパンツを好んでいるのですか?それともご自分のパンツを愛でている?」
おじさんは鼻で笑った。
「自分のパンツを好むわけないじゃないですか。」
「では、どのようなパンツを……?」
幼女大好きおばさんが尋ねると、おじさんは落ち着いた様子で答えた。
「私はおじさん大好きおじさん。私が好むパンツは実在性おじさんの使用済みパンツです。」
「実在性おじさん?!」
非実在性ではなく?!と聞き返すと、おじさん大好きおじさんは丁寧に否定した。
「私はこの世の全ての悪とは無縁そうな心が清らかなおじさんのパンツを盗んでおじさんに精神的苦痛を与えるのが趣味なんです。」
「最低じゃないですか!!」
幼女大好きおばさんは叫んだ。
「それは実在の被害者が存在する性犯罪じゃないですか!何やってんですか!?」
幼女大好きおばさんがそう指摘するも、おじさんは動じなかった。
「………? おじさんのパンツを盗むことは性犯罪に当たりません。何故ならおじさんには人権が無いからです。」
「?!」
知らないのですか?という風におじさん大好きおじさんは続けて説明した。
「2021年8月32日から法律によっておじさんの人権は失われたのです。」
おじさん大好きおじさんは虚言癖であった。
「でも、あなたもおじさんですよね?あなたはどうなるんですか?」
幼女大好きおばさんが尋ねるもおじさん大好きおじさんは何もわからないという風だった。
「私はおじさんを自称しているだけでまだおじさんではありません。」
おじさん大好きおじさんはなんと実年齢と精神年齢に大きく隔たりがあるタイプの人間だった。
「パンツを貰うとか借りるとかならまだしも、盗むのは完全に犯罪です。」
幼女大好きおばさんが自首を促すも、おじさん大好きおじさんは腕を組み首を振った。
「私は無罪です。それにあなたにそんなことを言われたくありません。このロリコンめが。」
幼女大好きおばさんは困惑した。
「自首してください。でないと私があなたを通報します。」
「したければするがよい。捕まるのはあなたです。この女子児童を脅かす卑劣な性犯罪者が!」
おじさん大好きおじさんは仁王立ちして幼女大好きおばさんを見下した。
「私は実在する女子児童を脅かす真似はしていません。非実在の女子児童のパンツを好んでいるだけです。しかしあなたは実在するおじさんのパンツを盗みました。」
どちらの方が悪いか冷静に考えてください、と幼女大好きおばさんが投げかけるも、おじさん大好きおじさんの心は動かなかった。
「圧倒的にあなたの方が悪いと思いますが?」
「実在する被害者であるおじさんの心より非実在の女子児童のパンツが大事と?」
「そうです。」
こいつはもうダメだ、と思い、幼女大好きおばさんは通報した。
数分後、パトカーがやってきた。
「こちらに下着を盗んだ犯人がいると伺ったのですが。」
警官が尋ねると、幼女大好きおばさんはおじさん大好きおじさんを指差した。
「彼が犯人です。実在するおじさんのパンツを盗んだそうです。」
警官が「本当か?」と詰め寄ると、おじさん大好きおじさんは幼女大好きおばさんを指さした。
「私は確かに実在性おじさんのパンツを盗みました。しかし彼女は非実在性女子児童のパンツを好んでいます。」
「ええっ?!非実在性女子児童?!」
警官たちは怒りに震え、幼女大好きおばさんに手錠をかけた。
「えっ!?」
「私たちは性犯罪を許しません。女子児童の安全を脅かしたとしてあなたを逮捕します。」
「待ってください!私は実在する女子児童の安全を脅かしていません!非実在の女子児童のパンツを好んでいるだけです!あのおじさんは実在するおじさんのパンツを盗みおじさんたちの安全を脅かしていたんですよ!どうして私を捕まえるんですか!」
幼女大好きおばさんがそう主張するも警官たちは聞く耳も持たなかった。
「実在するおじさんに人権は無いので問題は無い。だが非実在でも女子児童は女子児童だ。何者もその安全を脅かすのは許されない。」
私は犯罪者じゃない!という幼女大好きおばさんの叫びも虚しく、彼女は警官たちに連れられ、おじさん大好きおじさんは実在性おじさんのパンツを盗むことにせいを出し幸せな毎日を送ったーーー。
(後に幼女大好きおばさんの無罪は証明されおじさん大好きおじさんは窃盗罪で捕まりましためでたしめでたし)
パンツ大好きおじさん&おばさんの闘い ユダカソ @morudero
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