魅せる幸せ

幸せだといいね

これは私が見た事例の感想を書いているだけの話。細やかな文句を載せています。この文章が貴方の暇潰しの一部になれれば幸いです。

私の職場は大勢の人が働いている。終業時間になると一斉に出ようと集まる。私もその一人。けれど歩く際は一列で…との約束があるので大体、誰かの後ろに付いて出口まで向かう。毎日、色んな人の背中を見ながら歩いているが、今日は目線が背中ではなく頸に行った。私の前を歩くのは恐らく40代〜50代くらいの女性。長髪で緑色に染められた癖っ毛…失礼ながらワカメを垂らした様な髪をポニーテールで纏めた後ろ姿。ちらちらと尾っぽの間に見せてくるのが一つ。誰かから吸い付かれた濃い唇の痕。私は即座に「バカかと」脳内で突っ込んだ。視界の中に入れたくなく、立ち止まりたかったが私の後ろには既に多くの人が並んで歩いている。下手に止めてしまう訳にはいかんせんと私は敢えてその唇を凝視しながら外に出た。

見れば見るほどにくっきりと残る痕。かなりの強さで、吸われたんだろうなと。私は優しいフレンチキスでしか吸われたことがないので深いのは分からない。そもそも深いのは好きじゃない…と私の性癖については蛇足なのでここまで。

話は戻して彼女のことだ。そのキスマークを残した相手は誰だ？旦那様なら仲睦まじいの一言で片付けられるが無駄に妄想が膨らむと不倫か？となる。そもそも旦那様が居ない場合もあるが。勿論、本人には問いただしてはいない。

しかし、こんなに他人様に見えるレベルで見せつけてくるのは久しい。高校生の頃は絆創膏で隠すのが流行っており、周りの先輩達や夜遊びに勤しむ同級生達がそれ身に付けた上で見せつけをしていた。見せて何になるのだろう。私は幸せなんです。愛されているんですと承認欲求が働いているのだろうか。減るものではないだろうが、そんな行いまでしないと心が満たされないのは私は少し憐れむ気持ちを持ってしまう。これもまた人様の自由と言えば自由と言われたら、それまでの話となるが。

ただ恋愛はアクセサリーではないと言いたい。それだけは私の中で譲れないもの。

その口唇痕…ずっと続くと良いですねと私は腹の中でその人の幸せを願った。

終了