第8話 殺害の欺瞞

「とりあえず、この話は俺とお前だけの胸に閉まっておこう。事件になっているわけでもないわけだから、下手に騒ぎ立てない方がいいからな」

 と西村がいうと、

「そうだな。それがいいかも知れないな」

 と口ではそう言いながらも震えが止まらない下北だった。

 彼にしてみれば確かにそうかも知れない。西村は部外者なのでいいが、下北の場合はそうではない。

 下北は恐怖の構図を二つ考えていた。

 一つは、皆が考える通り、その外人が死んでいて、自分が犯人にされてしまうという最悪の考えだ。しかし、この可能性が一番高いような気が下北はしていた。どうしても当事者というのは、最悪のことを考えてしまうもので、西村のように客観的に、そして他人事のようには考えられないものだ。

 そうなると、トイレは施錠されていた理由が分からない。もし誰かに死体が発見されたのであれば、その人は警察に通報し、係の人が立入禁止にするはずだ。そして警察の捜査が入れば、現場は聖地となり、完全に関係者以外は立入禁止となるに決まっている。それなのに、ただ閉まっているだというのは納得がいかない。となれば、もう一つの考え方として、外人が蘇生したと考える方だ。そうであれば、扉が閉まっていた理由も前述の通りである。

 だが、これでめでたしめでたしとはならないだろう。

 なぜなら、もし外人g蘇生したのだとすれば、やつは、この自分に復讐を企てるかも知れない。いや、きっと企てるだろう。何しろあれだけ怒りを爆発させて追いかけてきたのだ。あいつは何に対して怒りを爆発させるか、日本人には理解しがたいものがあるのだろう。

 そう思うと、

「やっぱり、外人は危険だ」

 と思わないわけにはいかない。

 復讐について、西村の考えは前述しているが、下北の考えもあまり違いはない。相手にやられた以上のことで復習しないと気が済まないというのは、人間の心理だともいえよう。それは日本人であろうと、外人であろうと変わりはない。だが、気性が分からないだけに非常に恐ろしかった。

 下北は知らなかったが、西村も実は外人が嫌いだった。もし、この事件の立場が下北ではなく西村だったら、もっと悲惨なことになっていたかも知れない。

 西村は二重人格ではないが、何かに夢中になると、我を忘れてしまうことがある。自分が危険に晒されて。自分が殺さなければ殺されるとなると、相手のことなど考えている暇もなく、やっつけてしまうことにあるだろう。

 その分躊躇はない。攻撃することで、自分の理性が保て、精神的に安定してくることがわかると、その安定を自分の中の正当性だと考えてしまうことで、相手を完膚なきまでにやっつけるという行動に出るだろう。

 そういう意味では西村は、下北よりも狂暴で、容赦はなかった。

 そのことを西村は自覚していない。

――俺は、冷静沈着なタイプだ――

 と思っているが、それも間違いではない。

 確かに冷静沈着で、滅多なことはしないが、その滅多なことをする状況になると、手加減ということを知らない。正当性に守られた理性だと思っているので、どんなに残虐なことをしようが、自分であれば許されるとも思っているのだ。

 そんな西村だったので、自分が人には言えない秘密を持った時が、少し怖いと思っていた。それが先生と母親の不倫現場だったのだが、なぜか西村は、その時、二人に対しての怒りがそれほどなかったということを意識していた。

 確かにその後、死体を見つけたりして、気が動転したというのも間違いではないが、それはそれであり、時間が経てば、まったく違っている事実だということで、再度考えをリセットできるはずだった。

 西村は、そんな自分の性格を分かっているだけに、

――何かがおかしい。普段とリズムが違っているようだ――

 と感じていた。

 西村と下北はそれぞれに違う思いを抱いてその場を離れ、それぞれ普段の生活に戻った。西村が死体を発見したのはその日の昼過ぎのことで、朝の事件の焦点であった駅の多目的トイレが、平常であるというのを確認すると、

――やっぱり蘇生したんだろうな。よかった――

 と思って、そのまま電車に乗って家の近くの駅まできて、自転車に乗り換えて家路についたその途中で、まさか死体を発見するとは思わなかった。

 それもそうであろう。

 そんなに都合よく、朝友達から、

「外人を殺したかも知れない」

 と言われ、トイレを確認しに行ったり、実際にそれから半日しか経っていないのに、本物の死体を発見するなど、話が出来すぎているような気がするくらいだった。

 だが、その偶然は、

「偶然と言えば偶然だが、ある意味、繋がっているとも言える」

 とも思えたのだ。

 警察の方から連絡があり、どうやら被害者の身元が割れたということであった。

 電話での話だったのだが、

「被害者の名前はグエン・ミンという人で、ベトナム人のようなんです。その人は、角館俊二という日本人のところに寄宿していて、どうやら日本に来てからまだ一か月くらいのものだそうです」

 ということだった。

「留学生なんですか?」

 と聞くと、

「ええ、来年の春から日本の学校の外人枠で入れるような話になっているそうなんですが。そこには、角館という人の力が働いているようですね」

「その角館という人はどういう人なんですか?」

 と聞くと、

「角館氏は、どうやら、教育委員会の人のようで、毎年数人、外国人の世話をしている人なんだそうです」

「なるほど。日本人じゃなかったんですね?」

「ええ、目下、なぜ彼が殺されなければいけなかったのか、彼の交友関係それから、あの場所に何か意味があったのかという点から捜査しています」

 ということだった。

 これだけの情報をくれたのは、警察の方としても、少しでも情報がほしいということで、西村に話をしたのだろう。ただの第一発見者に警察がここまで話をするのは、不思議な気もしたが、もし疑っているのだとしても、実際に自分と死んでいた外人とではまったく面識がないので、疑いようもないち思うと、却っておかしな気がした。

――それとも何か、それでも警察が自分を疑うだけの根拠のようなものがあるのだろうか?

 と考えたが、考えれば考えるほど共通点などあるはずがなかった。

「分かりました。被害者は外人だったんですね?」

「ええ、その通りです。しかも、日本に来てまだ間もないということもあり、何か動機を持った人がいるとも考えにくいので、交友関係自体を探るのもそこまで苦労はしないと思います。ただ、そうなると、衝動的な犯罪ということになり。捜査は逆に難しくなる。衝動的な殺人だとすれば、正直困ったものですね」

「ところで一つ聞きたいのですが?」

「はい?」

「結局死因は何だったんですか?」

「死因は紐状のもので締められたのが致命傷です。でも、その前に頭を強打しているので、それも見逃すことのできないことですね。相手を殴っておいて。その後で念のために絞め殺す。その犯人にとってこれは、衝動的な殺人ではあったんでしょうが、この男に何か狂暴なことがあるのを知っていて、復讐されるのが怖かったという考えもありますね」

 という意見を、

「これは私のあくまでも私見なんですが」

 という前置きをしながら話した。

「なるほど分かりました。でも僕は本当にただの第一発見者なので、それ以上のことは分かりませんよ」

 というと、

「相手が外国人だというところが引っかかるんですよ」

 というではないか。

 まさかとは思うが、西村のまわりの人に彼が外人が嫌いだということを警察に話した人がいるのではないかと思ったのだ。

「相手が外国人で、しかも最近日本に来たばかりということであれば、彼に対して殺したいほどの恨みを持つということは考えられない。そうなると衝動的なものか、彼が何か見てはいけないものを見てしまったか何かしたか、そのあたりではないかと思うんですよね」

 と、刑事は言った。

「そこで、お聞きしたいのはですね。我々があのあたり一帯をいろいろ捜索した時、彼の荷物らしいものは何も発見されなかったんですよ。身元を示すものもなかった。当然財布もね。他で殺されたということだったので、こちらに運んできたわけだから、まわりに何もなくていいんですが、でもそれだと犯人は、他で被害者が殺されたということが分かってもいいと思っていたということですよね? そうじゃないと、彼の遺留品が何もないというのは、おかしなことですからね。そうなると、犯人が何をしたいのかが分からなくなってくるんですよ」

 と刑事は言った。

「ええ」

「本当にあのあたりに何もなかったのかって思ってですね」

 という刑事の言葉にドキッとした西村は少々怒りをあらわにし、

「それじゃあ、まるで刑事さんは。この僕がその人の荷物か何かを隠し持っているのではないかって思われるんですか?」

「そこまでは言っていませんよ。あなたが発見した時、そのあたりに、本当に何もなかったのかということですよ」

 というので、

「それは、すなわち僕がその男のものを持っていると言っているのと一緒じゃないですか。あの場面で死体を発見してから警察が来る迄、僕一人でずっと見ていたわけですからね」

 というと、

「それなんですよ。本当にあなたおひとりだったんですか?」

 と言われて、刑事は何が言いたいのか分からなくなった。

「他に人なんかいるはずないじゃないですぁ?」

 と憤慨していうと、

「いえね。どうやらあの場所に何かがあって、それを誰かが持って行ったふしがあるようなんですよ」

 ますます分からない。

「どういうことなんですか? 何かを持って行った後があるって、本当に最初からそこにあったか、被害者が花見離さず持っていたはずのものがあって。それが消えていたとかいう話なんですぁ?」

 というと。

「そうじゃないんですよ。実は死体から少し離れたところにですね。USBフラッシュメモリーがあったんですよ。USBご存じっですよね? データを保存する親指大くらいのメモリーなんですが、そこにですね。いくつかの写真が入っていたんですよ。どうもそれは電車や駅の写真ばかりで、そのことを被害者の世話を焼いている角舘という男に訊いてみたんですが、どうやら、彼は日本の鉄道マニアで、鉄道写真を収集するのが趣味だったらしいんですね。その日も写真を撮ると言って出かけたらしいんですが、彼が持っているはずのデジカメがないんですよ。犯人が持って行ったのか、それとも本当の殺害現場にまだあるのか、でも、それは考えにくい。死体を移動させたのは、殺害現場を特定されたくないからというのが一般的な考えなのに、殺害現場にカメラだけがあったというのもおかしな話ですよね。だから、カメラも死体のそばにあったのではないかと思ったんです」

 と、刑事はかなり詳しく説明してくれた。

 それを聞いても西村は、

「いやぁ、なかったものはなかったとしか言いようがないですね」

 と答えると。

「そうですか。分かりました。我々も別のところから当たってみます」

 とあっさりと切り上げたのには、少々拍子抜けsた。

 ここまでハッキリといろいろ話してくれたのに、この諦めの早さは何なのか。彼らの中で想定内だったということか。そうなると。別のことから当たると言っていたが、何か当てがあるというのだろうか。

 西村には、その当てが何なのか、さっぱり見当がつかない。捜査をすると言っても次にするのは、交友関係を当たるか、後は、本当の犯行現場を探すところであろう。

 刑事との電話を切った後で、西村はいろいろ考えてみた。だが、今の刑事の電話で分かった一番重要なことは、被害者が特定できたということであり、どうやらその外人は、下北が、

「殺したかも知れない」

 と言った人物だった。

 だが、彼はその後に別の場所で死体となって発見された。下北の話では、

「俺は、頭を配管に打ち付けた」

 と言っていたが、絞め殺したとは言っていない。

 そもそも、あんな紐のようなものを、普通は盛っているものではない。致命傷は首を絞められたことだと言っていたことから、少なくとも下北が犯人ではない。もちろん、下北の話を全面的に信じるからであるが、逆にここまで話をされて、いまさらウソをつかれるというのもおかしな気がする。

 頭を打って気絶したところ、彼がトイレで蘇生した。そして、そこを通りかかった人に対して気が狂ったように襲い掛かり、正当防衛から、その男を殺してしまった。そして怖くなった犯人が、ここに死体を遺棄した。

 その時、デジカメのようなものは持って行った。まさかとは思うが襲うところを撮られているのは怖かったからだ。場所がトイレの中というのもよかったかもしれない。出入りに防犯カメラの映像はあるかも知れないが、トイレの中にカメラがあるはずはない。それこそ盗撮になってしまうからだ。

 彼を運び出すのに、一人では難しいだろうから、誰か人を呼んで、ここから偽装工作が始まる。

 男の身元が分かりそうなものはすべて抜き取っておく。どうせ警察も被害者がこれから息する場所で死んだとは思わないだろうから、そこは問題ない。トイレで殺されたことを示唆させたくなかった。いくら防犯カメラに決定的な映像が映っていないとはいえ。怪しい人物として映っているかも知れない。あの場所で殺人があったなどということは誰にも分からないだろうから、死体をどこか静かな場所で、しかもそんなに時間が経たずに発見されることを望んだ。あまり発見が遅ければ、死亡時刻が曖昧になってしまい、死体を動かした意味がなくなるだろうと思ったのかも知れない。

 もしそうだとすると、いろいろ無理な点が多いが、犯人側とすれば、注意に注意を重ねて考えたつもりであろう。もしこの内容が犯罪を指し示しているとすれば、かなり曖昧な犯罪に違いないが、大体はこんなところで事件は推移するのではないかと西村は考えていた。

 ミステリーマニアらしい考えだが、それも、下北という友達の証言が頭に先入観としてあるから、考えられることであった。

 ただ、一つ気になるのは、犯人がデジカメを持って行ったということ、そこには何かの秘密があるということなのか、この外人は下北に対しても、かなりヒステリックに怒りをあらわにしたというではないか。この怒りというのは、デジカメと何か関係があるというのか。

 この外人は角館という人と、下北の証言で一致していることとして、

「鉄道マニアの、トリテツ」

 だということだった。

 つまりは、電車の写真や駅の写真を撮りまくる人であり、ただ、ひょっとすると、そんな彼は撮ってはいけない写真を撮ってしまい、撮られてはいけない立場の人間が、その外人がトリテツだと知らなければ、ひょっとすると、自分たちを狙っている、いわゆるパパラッチのようなものではないかと思ったかも知れない。

 写真に撮られてはいけない立場というと、パッと思い浮かぶのは、不倫カップル。これが一番可能性としては高いが、そこまでして奪わなければいけないものなのかと思い、少し現実味に欠ける気もするが、逆にどうしてもまずいとすれば、何かの犯罪をカメラに収めていた場合、誰かを尾行している場面であったり、もしかすると、何かの闇取引であったりである。

 そんな場合は相手を生かしておくのは危険であるが、果たしてそんな場面が、現状で存在するのかどうか、それが問題だ。

 殺すだけの理由は十分だが。シチュエーション自体に無理がある。それを考えると、どちらの意見も、

「一長一短」

 であり、

「帯に短し、たすきに長し」

 と言ったところであろうか。

 やはり気になるのは、この外人が下北に対し、襲い掛かり、下北自身が、生命の危機を感じるほどに、狂喜乱舞を演じたことが引っかかってくる。

「何に対してそこまでヒステリックになったのか? まだ日本に来て間がないということだったので、日本人の顔を認識できずに、誰かと間違えでもしたのだろうか?」

 いろいろと、頭の中で情報が混乱していた。

 情報が混乱している中で、いくつかの真実が隠されているのだろうが、どこまでが本当でどこからが間違っているのか、中学生の西村には分からなかった。

 西村は今刑事から聞いた話を、下北に話そうかどうしようか迷っていた。だが、結局話すことはしなかったのだが、結論として、その考えに間違いはなかったのだ。

 確かに下北が襲われて、苦し紛れに外人の頭を殴って、その場を逃げ出したというのは許されることではないと言えるのだろうが、この事件の中で下北が演じた役割は、本当にその部分でしかなかったのである。

 下北は、幸か不幸か、ちょうどその時、鬱状態から躁状態への切り替わりの時を迎えていて、すっかり事件のことを意識しないようになっていた。

 それがある意味よかったのだろう、彼の口から余計な話が漏れることはなかった。だが、そのせいもあってか、事件はどうもしっくりくることもなく、進展していないようだった。

 子供でただの第一発見者である西村に、警察が何も聞いてこなくなったのも、きっと捜査に行き詰ってしまったからだろう。

 西村としても、捜査に関してはほぼ知らない状態で、まるで他人事だということで、自分なりに勝手なストーリーを考えていた。

 あの場面で母親と先生がホテルから出てきたのをいいことに、西村は母親と先生があの男を殺したという想像をしてみた。

 動機は、

「不倫現場を写真に撮られたと思って争いになったから」

 というもので、

「じゃあ、犯人を絞め殺した凶器をどうして持っていたのか?」

 という疑問に対しては。

「先生は小心者で、母親とズルズルの不倫関係を続けていたが、いつか母親が苛立ってしまって自分の立場が二進も三進もいかなくなった時、その紐で母親を殺害し、自分も自殺しようとでも思っていた」

 ということは考えられないだろうか?

 ただ、先生は小心者なので、自殺までできたかどうか分からない。何とか、母親だけを殺して自分だけ助かろうとするのではないか?

 あの先生はそれくらいのことをしかねないと、西村は思っていた。

 実際に西村だけでなく、クラスのみんなは先生のことをロクな目で見ていなかった。子供の目だと言ってバカにできるものではない。純粋な目で見ると、誰が見ても先生はロクな人間ではなかった。

 外人は、下北に襲われて、トイレで苦しんでいたが、蘇生した。そして、頭の傷を応急的に直したうえで、ラブホテルの前で、

「獲物」

 を狙っているところに被害者がノコノコ現れた。

 しかし、意識が朦朧とし、平衡感覚もまともに取れない状態でカメラを向けていても、肝心の盗撮でなければいけないものが、公然と撮影してしまったことで、相手に首を絞められて、返り討ちに遭ってしまった。

 その場に死体を放置したのは、この男の頭に傷があったからで、それを殺害の時についた傷だということにすれば、犯行現場をゴマ化せるのではないかと思ったのだろう。

 そこで、この場に死体を遺棄した。

 そして、自分たちはそそくさと帰っていく。ちょうどその帰っていく場面を見つけてしまったというのは、これが最高の偶然だったのだろう。

 しかも、その死体の第一発見者が自分というのも、何ともいえない。西村はそこまで考えてくると、この考えが、

「いかに、自分中心で、都合のいい考えであろうか?」

 と思ったが、西村の立場と、下北の証言、そして母親の不倫現場を目撃したことを考えると、このあたりの推理が一番しっくりくるもののように思えてならなかった。

 何しろ、中学生のミステリーマニアが考えた内容である。なぜ警察が自分にいろいろヒントを与えてくれたのかは分からなかったが、あの話もだいぶ推理に役に立った。

 それにしても、一つのことが分かってくると、想像という形で、事実を考えずに理論だけで組み立ててれば、ここまで考えられるのだということを再認識した西村だった。

 だが、あくまでも想像の中だけのこと、創作でしかない。証拠という意味ではあまりにも薄い。そのため、根拠も薄っぺらく、信憑性などあったものではない。

 それでもある程度の核心はついているようだ。ただ、本人は八割くらいは当たっていると思ったが、実際には半分くらいだっただろうか。それは、残りの二割が難しさを秘めていたからであろうか。それとも残りの二割が、半分くらいの事実で覆させるようなものだったのか、ハッキリと分かるものではなかった。

 次章、急展開していくことになるのだが、これが急転直下と言えるかどうか、西村には分からなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る