第6話潮干狩り

 ゴールデンウィークに入ると、新葉は家の手伝いをする。自家製の野菜や果物を収穫したり、拵えたりするのだ。

 早葉はこの頃から、サーフィンの練習を本格的にする様になった。磯崎航平と岩瀬蓮人のいなくなった今、この次は必ず、優勝するんだと意気込んでいた。この時は家の手伝いをする新葉達(弟。姉妹)とは別行動を取り、一人コツコツとサーフィンの練習をするのだ。

 この時はパパ付き。勿論サーフィンのスクールがある時は行って練習をする。この時はプロのサーフィンが指導してくれる事がある為、練習は欠かせないのだ。オリンピック会場だった一宮までパパが車で送って行くのだ。


      五月


 五月になって、二回目のゴールデンウィークだ。(五月に入ってからの学校の休み)と、言う意味だ。林家ではこのゴールデンウィーク中に潮干狩りに出掛ける事となった。サーフィンの練習で忙しい早葉と付き添いのパパを除く。


 林家では二台の車で出掛けた。一台は大地爺ちゃんの運転で母屋の人間が車に乗り込み、僕と姉妹はママの運転で車に乗り込み現地に向かったのだ。現地では潮干狩りの観光客が一杯居た。


「着いたね」


 水葉は小さなバケツと手かきを持って言った。水葉の髪の毛を微風が舞い上げていた。


「人が沢山いるねー」


 新葉は潮干狩りをして居る人を見て言った。観光客は我先にと貝を取っていた。潮干狩りは時間制で決められており、綱の袋でいくらと決まって居た。


「わしらの若けー頃には取り手ェだけ取った物じゃけんのー。今は時間も制限されるし、金まで取るんじゃけんのー」


 岩爺が不満を漏らした。


「さあ、皆さん時間です。上がって来て下さい」


 のアナウンスが流れた。綱の袋に一杯入れて帰って来る観光客達。

 

 次は自分達の番だった。ここの管理をして居る人が説明をしている。穴の開いている所を探せば貝が出ると言う事だった。説明も終わり、観光客は我先にと海に入って行った。


 林家の家族もそれに続いた。一杯の人だかりに圧倒されて居た新葉に、


「新葉ちゃん。こうやって穴の開いてる所を掘って見なさい」


 新葉の隣で椿婆ちゃんが話し掛けて来た。新葉も掘って見る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る