第4話遠足とキャラ弁

 現地に着くと、自由行動だからなのだ。一時間半程遊ぶとお昼ご飯とした。学年毎に敷物を敷き並んで昼食を摂った。今日はいつもの給食とは違い。どんなお弁当を持って来るのか。皆んなの楽しみでもあった。


「渚ちゃんはどんなお弁当を持って来たの」


 海咲がまだ開けてないお弁当袋を覗いて言った。


「開けて見るね」


 渚がお弁当袋を開ける。


「なんか皆んなに見られてると恥ずかしいんだけど」


 言って、お弁当の蓋を開け兼ねて居る渚。


「皆んなで一気に開けようね」


 言って、海咲が他の同級生に促す。皆んなでお弁当の蓋を開けた。


「セーノ」


 言う海咲の言葉で皆んなが一斉に弁当の蓋を開けて、それぞれの中身を覗く。


「ハハ、これ可愛いね。キャラ弁」


 と、海咲。


「このくまさん可愛い」


 渚が言った。


「これ、牛さんと山羊さん」


 駈が広平の弁当箱を見て言った。


「ボーロとヤーとメーとローだよ」


 と、広平が答える。


「僕のわねー。飛行機だよ」


 大地が見せて言う。


「僕はウルトラマンのキャラ弁だよ。はは」


 新葉は笑いながら言った。皆んなそれぞれの弁当に盛り上がり、食べ始めた。


「美味しい」


 皆んなが食べて居ると、


「渚ちゃん。あのねー」


 言った後、泣く絵里香が来た。


「どうしたの絵里香ちゃん。何かあった」


 渚が優しく聞く。


「ヒック。奏太君が絵里香のお弁当見て笑うんだもん。ママが今、病気だからね。パパが作ってくれたのに男の子みたいなお弁当だって言うのよ。酷いよー」


 絵里香が泣いて訴える。


「酷い事、言うな」


 広平がイキリ立つ。


「とにかく、一緒に行きましょう」


 言って、二年生の皆んなは絵里香と共に奏太の元へと向かった。奏太の側まで来た一行。奏太は何事も無かった様にお弁当を食べて居た。


「呆れた。一つも反省して無い」


 海咲は呆れ顔で言う。


「奏太。お前。人の弁当見て笑ったんだってひでぇよな」


 広平が怒って言った。


「絵里香ちゃんのママが病気だから、変わってパパが作ってくれたのよ。それを笑うなんてあんまりじゃないの」


 海咲が言った。

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