第2話自家製の苺

「酷いな。音葉顔に跳ねた」


 と、言って新葉は泥の跳ねた顔を見せて言った。


「ハハハハハハッ」


 水葉(姉)は笑って早葉に泥を投げた。


「あっ、汚ねえー。やったなー」


 早葉は水葉にお返しをしようと、投げ返すがそれが泥跳ねして音葉の服にピシャリと跳ねた。


「お兄ちゃん。酷い」


 と、言って音葉は怒ってベソを描く。


「お前達。遊び半分にやってるなら、家に帰れ」


 大樹の一喝が飛ぶと、それからは兄弟姉妹達は真面目に田植えをした。綺麗に植っていく稲の苗。田植えが終わると、胸を撫で下ろした。皆んな綺麗に植えた稲の苗をしばらく眺めて居た。


「今年も美味しいお米が出来ますように」


 新葉は言って心から思った。皆んな同じ気持ちで見て居た。


「なーに。大丈夫じゃ。皆んなの気持ちにきっと、稲は答えてくれるじゃろう。皆んな、ようやったからの」


 岩爺が言った。

 岩爺の言葉に兄弟達の心の中が熱くなる物を感じた。車の中に乗っても、走り出しても車の中から見えなくなるまで、兄弟達は田んぼを眺めて居た。家に帰ると、我先にと、風呂に入った。風呂から出た家族は一端。母屋に集まり、そこでテーブルに着いた。


「ほれ、要頑張ったのー。これでも、食べんしゃい」


 椛婆が自宅で取れた自家製の苺を器に練乳と牛乳を入れた物を持って来た。いつも苺をスプーンの裏で潰して、苺ミルクにして食べるのが定番だ。(ほとんど飲むが正しい)


「苺だ。大好き」


 音葉は踊る様にはしゃいだ。


「「「美味そう」」」


 早葉、水葉、新葉の兄弟達は声を揃えて喜んだ。


「そうかい。そんなに喜んで貰うと作った甲斐があるってもんだよ。婆ちゃんも嬉しいよ」


 ニコニコしながら、椛婆ちゃんは言った。家族は幸せな一時を味わって居た。

 この日は疲れているので、夕食を済ませた家族は早々と寝た。


 次の日から、また、学童生活に戻った新葉。渚はやはり、三年生の女の子三人組の川西愛利達の所へと向かった。新葉も後を追う。


「愛利ちゃん。沙綾ちゃん。燈子ちゃん。一緒に遊ぼう」


 渚は声を掛けて仲間に入る。新葉もお供する。

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