第92話思わぬ方向へ。
「そりゃあ無いでしょ。新葉君は何が何だか分からないんだよ。それで言えって言ったって困るでしょう」
大地が庇った。
「元々あんたのせいじゃ無い。あんたがカッコいいから悪いんじゃ無い」
海咲が言って大地を責めた。
「へっ」
大地はそれこそ訳の分からない事を言われ唖然としている。
「もう良い」
渚ちゃんは怒ったのかその場から離れて行こうとする。窮地に追い込まれた新葉は致し方無く陽奈ちゃんの元へと向かった。恐る恐る陽奈ちゃんに声をかけて見る新葉。
「あのー。立花陽奈ちゃんですよね。僕は東端の市溱側小学校から来た林新葉です」
新葉は言って自己紹介した。
「そんな事知ってるわよ。何しに来たのよ。まさかあの子あんたに言い付けたの」
陽奈は不機嫌そうに言った。
「いやいやいやいや。そう言う事じゃなくて、陽奈ちゃんは渚ちゃんと友達になったって聞いたんだ。僕は渚ちゃんと友達だからね」
言って、新葉は何とか乗り切った。
「そう。じゃああんたも私と友達になりたいって事なのね。良いわよ友達になってあげるわ」
陽奈は言って受け入れた。
「ヘッ」
新葉は思わぬ方向へ向かっている状況に苦笑いする。新葉は渚の元へと戻って来て陽奈ちゃんと会って来た事を報告する。
「何て言ってた」
渚は聞いた。
「えっと、それが陽奈ちゃんと友達と言う事になったと言うか。うん。まあ……」
しどろもどろな新葉が言った。
「もう。何やってるのよ。新葉君」
言って、渚は新葉にダメ出しをした。新葉はチンとして、側にいた駈に愚痴る。
「女子って怖。僕はこんなに女の子が怖いって初めて知ったよ」
新葉は言って滅入る。
「ハハハハハハハハハハッ」
ケラケラ笑い出した女の子。駈の隣りの席の女の子だった。
「あんた達面白いね」
言って、その女の子が笑った。
「笑ったら悪いよ」
渚の前の席の子がそれを止めた。
「ごめん。ごめん。面白くてさ。つい。私は松浦陽菜よ」
駈の隣の席の女の子が言った。渚の前の席の女の子が口にした言葉に恥ずかしくなったのか顔を赤くしている。
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