第17話海斗頼むから病院を選択してくれ。

「僕が見て来ます」


 海斗が自分が行くと言い出した。


📱「おい、海斗聞いてるのか。病院に行くんだろ。さっきから聞いてるのにもう声も出なくなっちゃったのか。それとももう寝たのか。寝たんなら良い。暖かくして寝とけよ?」


 早葉はスマホに話し掛ける。


📱「早葉。オレ今から磯崎帆南いそざきほなみを見に行って来る。風邪で婆ちゃんと一緒に家に残ってるらしい。泥水が接近してるんだ。家に居たら危ない。避難させるつもりだ。だから、電話は音葉ちゃんと変わるよ。お前もゲホッ。ホッホンッゴホッ。新葉君達にゴホッ。変わってやれ。音葉ちゃんの……ゴンッ。声がゲホッ。聞き……たいとゴホンゴホン。思うぞ。じゃゲホッあな」


 海斗は声を絞り出して話した。

 磯崎帆南。幼稚園児年長。音葉の親友でクラスメート。磯崎航平(昨年生徒会長)の妹。風邪をひいて居て幼稚園を休んで自宅で寝て居る。


📱「待て。お前何馬鹿な事言ってんだ。お前は病院に行くんだよ。人ん家に行ってる場合じゃない。お前が行く必要はない。こう言う事は大人に任せて置けばいいんだ。まだ、お前は子供だ。それにもう逃げたかも知れないだろう。兎に角お前は寄り道せずに病院に行けばいいんだよ」


 早葉は懸命に説得する。


📱「ゴホン。ゴンゴン。早葉ゲホンッ君。嬉・し・いよ。君ゴンゴンがゴンこんなゲホン。に僕をゲホゲホッ気ゴホンに掛けてゴホン。くれてゲホン。大人はゴンゴン。誰もいないゴン。んだ。僕がゲホン行かなきゃ。ゲホン。二人は死んじゃうゲホン。かもゴン。早葉。ゲホンゲホン。分かってくれ」


 海斗は言ってトラックから下へ降りてしまう。


「ダメだ。海斗君。行っちゃダメだ」


 言って岩爺もトラックから下へ降りて海斗の後を追って行こうとするが慌てて追ったせいもあり、足を挫いてしまう。海斗は下に降りて西組に向かう。残されたスマホ。


📱「おい。おい」


 早葉の声がスマホから聞こえる。構わず、スマホを取る音葉。


📱「海斗。おい」


  早葉の呼び掛ける声。

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