第15話二股に分かれた道。

📱「けど、早葉の。ゲホッ。ゴホッ。愛は感じる。愛はゲホッ。ゴホッ。ゴホッ」


 海斗は言った。それを聞いた 早葉は顔が見る見ると、真っ赤になった。


📱「なっ何言ってんだよ。オレの事、揶揄ってるだろう。ふざけるな。あっ焦るわ。今度会ったら覚えてろよ。って言うかお前はもう寝てろ」


  早葉はあたふたしながら言った。


📱「おっ怖。ゴホッ。 早葉君はこんなにゲホッやさゴホしゴンいんゴホッ。前からゴホッ」


 言葉を残して通話が途切れる。


「ブルルルルッ。ゴッゴッゴッゴッ」


 音がしてトラックが止まる音がした。二股に別れた道でトラックはエンジンを掛けたまま止まった。


「このまま真っ直ぐ高台に向かうべきなのだろうが回り道をして行こうと思う。回り道をしてもまた高台に向かう道もある。少し下がる事にはなるがこっちの道を通るぞ。牛達がこっちの道を通ってないか。途中で止まって無いかの不安もある。それと、おめえの息子の大地くんと井上んとこの息子はこの道を上がって来るはずだ。途中でばったり会うとも限らん。それに第一海斗君を病院に連れて行かにゃああかん。こんなに酷くなっておる。このまま山の上に連れて行く訳にも行かんじゃろ。なー爺さんよ」


 加瀬家の爺ちゃんが言った。


「おー。そうともよー。オメーの言う通りじゃ。そうしてくれるか。頼むのー。みすみす海斗ちゃんを死なせる訳には行かねー」


 岩爺もその言葉に従った。一行は高台の方には向かわず、回り道をして下がって行って、病院へと向かった。


「おい。どうした。どうしたんだ。何かあったのか」


 何も知らない早葉はスマホに懸命に話し掛ける。


📱「ああ。早葉。これから病院ゲホッ。ゴホッ。ゴンゴン連れ、ゲホッ。ハックション。クション連れてっ。ゴホン。ゴホホ。くっらしい。ゲホン」


 海斗は答えた。


📱「病院に行くんだな。そうか。必ず連れてって貰えよ。絶対行くんだぞ病院」


 早葉は強い口調で言った。そんな会話のやり取りを聞いて居る新葉は電話の順番を待っていた。

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