第13話皆んな無事か?音葉大丈夫なんだなぁ。

「出てくれ。出てくれ。頼む出てくれ。何してるんだ」


 言いながらも水葉のスマホに電話する 早葉。


「トゥルルルるるる。トゥルルルるるるる」


 音の流れて居る中、


「はい」


 懐かしくて毎日のように聞いている声がした。聞きたかった声だ。聞きたかった声に安堵する 早葉。


「音葉だろ。音葉だよな」


  早葉はスマホに呼び掛けた。 早葉の周りいる皆んなも笑顔が広がって行く。


「お兄ちゃん。 早葉兄ちゃんなの」


 電話の向こうから音葉の声がする。丁度音葉は濁流から難を逃れトラックに乗って高台へと避難している所でこの電話が入って来たのだ。


「うん。 早葉だ。皆んな無事か。怪我して無いか。今、何処に居るんだ?」


  早葉は声を掛ける。


「うん。私は大丈夫だよ。大地爺ちゃんは井上の爺ちゃんを迎えに行ったから、ここには居ないけど、きっと大丈夫だと思う。岩爺ちゃんも椛婆ちゃんも私と一緒にトラックに乗ってるよ。今、トラックで高台に向かっているよ。広平君の所の爺ちゃんが運転してくれてるよ。もうお婆ちゃんは先に避難したって。ボーロもヤーちゃんもメーちゃんもローちゃんもトラックの上だよ。メーちゃん達のママも乗って居る。だけど、パパ山羊さんだけは助けられなかった。角が突き刺さってて取れなかった間に合わなかったんだよ。お水が一杯来ちゃって逃げるしか無かったの。他の牛さんはお家が壊れちゃって高い所に逃げちゃったみたいなの。皆んな助かって居るといいね」


 音葉は話して居ると、携帯電話で話を聞いて居た 早葉は、


📱「今、避難所に居るわけじゃないのか。それじゃあ。山羊の子供達は助かったんだな。加瀬の爺ちゃんも婆ちゃんも無事なんだな。岩爺も椛婆も無事なんだなー?」


 と、 早葉は一言一言丁寧に聞いた。


「ヤーちゃんもメーちゃんもローちゃんもボーロも助かったんだ。有難う」


 広平は喜んで飛び跳ねて居た。子供達からは拍手が上がった。新葉達も喜んでいる。


「コン。コン。コン。コン」


 新葉の咳。だが、皆んな、連絡が出来た事を安堵していた。

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