第93話 スタンピード後のダンジョン確認と自衛隊パーティーと探索者パーティー
じゃあ、飛鳥さん。よろしくお願いします。」
「わかりました。大切にお預かりします。」
「じゃあ、皆、飛鳥さんの言うことをよく聞くようにな!」
「わかったの!」
「わかったぞ!」
「了解なのです!」
と、言うわけで、飛鳥さんにグラムとスノウ、ウルを託して俺は天上院家を出る。家の前には車が用意されており、それに、乗り込む。乗り込む前に藤堂さんより
「お帰りの際は私に連絡を下さい。車を出しますので!」
そう言われ、藤堂さんの携帯番号を教えてもらう。
「じゃあ、行ってきます!」
「お気をつけて!」
こうして、俺は哮天犬を連れて東京駅に向かう。そして、東京駅の前に下ろしてもらい運転手さんに帰りはどの出口で待っていれば良いかを聞かれたが、どこに何があるのかわからない俺はここで良いと言うしか無かったのである。そして、俺と哮天犬は一緒に東京駅の中に入るが、中を見渡せば人、人、人、人である。昨日は、皆、避難勧告が出ており、人が全くと言って良い程いなかったので、今の現状にちょっと引く。取りあえず、ダンジョン支部に行こうと思い歩き始めるが場所が全くわからない。それに、何故か通りすぎる人の視線を多く感じる気がする。俺というよりも、方向は俺なのだが皆の視線は少し下を向いている。俺も下を向けるとそこには哮天犬がいた。もしかして、駅の構内ってペット禁止だったのかな?と思っていると、駅員さんが近づいてきて、
「すみません。ちょっとよろしいですか?」
と、声をかけられる。見ると駅員さんである。
「はい。何ですか?」
「すみませんが、構内にペットを連れて入るのはご遠慮願えませんか?」
「いやっ、コイツはペットじゃなくてですね………。」
「あっ、神月さんじゃないですか?どうしたんです?」
見ると、そこには宇佐美さんが立っていた。
「えっと、コイツ(哮天犬)を連れているのが問題とと言われてるんですよ。」
「ああっ、なる程ですね。駅員さん、ちょっとあっちでお話お願いします。」
「いやっ、それは………!」
「いいから、いいから。」
強引に駅員さんを連れていく。1、2分話をすると、駅員さんは、去って行った。そして、宇佐美さんが戻ってくる。
「終わりましたよ!」
「えっと、脅してないですよね?」
「大丈夫です。平和的に解決しましたから。」
「そうなんだ。それで、宇佐美さんは、今からダンジョン支部に行くんですよね?」
「はい!そうですけど………もしかして迷ったんですか?」
「恥ずかしながらその通りです!ここ広すぎでしょ?」
「あははははは………。すみません。」
「本当、失礼ですよ!初めて東京に来たんです。こんなの想定外ですよ!」
「そうですよね。初めてならビックリしますよね!」
「それに、昨日は人が居なかったからそんなでもないですけど、今日は、人、人、人で酔いそうになりそうですよ。」
「初めての人は人の波に酔うってよく聞きますからね。」
「ですよね!」
「では、ダンジョン支部まで案内しますよ!」
「お願いします。」
それからは、宇佐美さんに案内されてスムーズに東京駅ダンジョン支部に到着することが出来た。その間に、色々な店があったので、昼食の弁当とおやつ用にパンとあと、ペットボトルの飲料水を3つ購入してリュックサックに入れてある。今日の、リュックサックは、天上院家にあった小さめな物をチョイスしてもって来ている。そして、到着したのは8時55分であった。
「おっ、やっと来たか!」
長谷部さんは待ちくたびれたと言わんばかりに言ってくる。
「いや、まだ、時間内ですよ。それよりも、問題はなかったですか?」
「ああ、あれからは問題はない。」
鳳さんが長谷部さんの後ろからやってくる。
「それは、良かったです。」
と、思ったら
「良いわけあるか!」
何処からともなく声が聞こえてくる。俺は、声のした方を見ると、そこには自衛隊の服を着た4人が立っていた。
「あの~、あの人達は?」
俺の疑問に長谷部さんが答えてくれる。
「アイツ等が今日一緒にダンジョンに行くメンバーだ!ちょっと生意気だがよろしく頼む!お前ら自己紹介くらいしろ!」
「はっ、自分は、楢崎太一です。」
「自分は、宮益光一です。」
「自分は、仲本広大です。」
「自分は、日向珠稀です。」
日向さんだけ女性であった。
楢崎さんと宮益さんは、身長が180センチ位で3人とも自衛隊員だけあって無駄な脂肪はついておらず筋肉質である。仲本さんは、身長は170センチで同様である。日向さんも同じ自衛隊員だけあってスタイルは良い方である。黒髪でセミロングで身長は、160センチである。
「俺は、神月サイガです。よろしくお願いします。」
「長谷部のオッサン。俺等、こんな奴と一緒にダンジョンに行かないといけないのかよ?」
楢崎という自衛隊員が文句を言い始める。
「それは、どいういう意味だ?」
「こんな弱そうでダンジョンを舐めきっていそうな奴とダンジョンに行くのはこっちの命がいくつあっても足らないぜ!」
楢崎の言葉に他の3人も同様に頷いている。
「確かにあんな見た目をしているが実力は俺が保証するぞ!」
長谷部が保証をすると言うと4人は静かになった。鳳さんに昨日、この4人はここには居なかったのか聞くと、どうやら居なかったようである。流石に、昨日の夜から交代でダンジョンの見張りをしていた人にダンジョンに行くように言うのは過酷だと思う。なので、基地で待機させてあった隊員を呼んだようだ。しかも、自衛隊の中では結構強い部類に入る人達みたいである。長谷部は、あんな格好って結構ヒドイと思うが、確かに今の俺の格好を見れば、俺が同じ立場ならそう思ってしまう。なんたって、今の俺の格好は、下はジャージで上は半袖のTシャツである。なんか、今から軽く運動が出来そうな格好をしている。何故、俺がこんな格好をしているかというと、今日は俺は全く自分で戦う気が無いからである。グラム達と同じ、俺も出来れば来たくなかったが仕方ないと思い今日はここに来ている。今日は、全て哮天犬に任せる予定である。危機的状況になれば話しは違うがそうしようと思う。
「お待たせしました。」
二階堂さんが声をかけてくる。俺が振り向くとそこには二階堂さんと3人の人物が立っていた。
「神月さん。今日はよろしくお願いします。」
「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。それで、今日、一緒に行くのはその4人ですか?」
「そうですね。それと、案内役に宇佐美をつけます。さぁ、あなた達、自己紹介しなさい。」
「わかりました。俺は日下源くさかげんといいます。ブラックファングのリーダーをしています。」
「同じく、ブラックファングの椎名亮介です。」
「ブラックファングの姉ヶ崎志保と言います。」
「ブラックファングの森本優子です。」
日下さん達は、大学の同期らしい。日下さんは姉ヶ崎さんと、椎名さんは森本さんとそれぞれ付き合っているらしい。リア充どもめと思ってしまう。日下さんは、身長が190センチ位のガッチリとした体育会系のイケメンである。椎名さんは、身長が180センチ位の茶髪のイケメンである。日下さんほど、ガッチリはしていないが、鍛えてます的な筋肉質な体型をしている。姉ヶ崎さんは、身長が170センチ位で髪型はロングであり、巨乳で何処かのモデル並みのプロポーションをしていて尚且つ美人である。最後に、森本さんは、身長が160センチ位で、髪型は、ショートであるが、とてもよく似合っておりイケメン風の美人さんである。天は二物を与えないって言うけどあれは嘘だなと思う。それと、何で東京の人ってイケメンや美人な人が多いのか謎である。
「お願いしますね。これで全員ですか?」
俺は鳳さんと二階堂さんに聞いてみると、
「そうだ。」
「そうですね。」
2人とも同意する。
「じゃあ、行きましょうか?」
「ちょっと待て!その前に今回の目的をはっきりさせておこう。」
鳳さんがそう言うので仕方なく同意する。
「まず、今回の目的はダンジョン内の調査だ。最終目的は6階層の到着だ。その間、モンスターの種類や強さもどのくらいか分かればなおいい。」
「ちょっと質問があるんですけど、良いですか?」
ブラックファングの姉ヶ崎さんが手を上げる。
「何だ?」
「モンスターを倒したら、アイテムがドロップしますが、それは、どうしますか?」
「倒した人のもので良いんじゃないか!それが、一番揉めないやり方だと思う。それと、宝箱を見つけた場合は、見つけた人の物。各階層のボス部屋は自衛隊、神月、ブラックファングの何れが1チームのみで戦闘を行うこと。見事、討伐出来ればその後の報酬はそのパーティー内で分けるものとする。ただし、自衛達とブラックファングは、討伐無理だと神月が判断した場合は介入をよろしくお願いする。その場合、ボスを倒した報酬は神月のものとする以上だ。何か意見があれば聞こう!」
「あの、本当にその人は強いのか?」
日下さんがそう聞くと、
「俺達全員もそう思っていた!」
楢崎がそう言うと他の自衛隊のメンバーも頷く。
「それは、ダンジョンに入ればわかる。他に質問がなければ終了するぞ!」
皆、沈黙だった。
「では、健闘を祈る!」
そうして、俺達はダンジョンに送り出された。
ダンジョン内に突入するが特に変わったところは見られない。
「変わったところはないな。」
「そうですね!」
俺の独り言に宇佐美さんが同意してくれる。
「じゃあ、宇佐美さん。次の階層まで最短距離で案内をお願いしますね!」
「わかりました。」
「あっ、それと、皆さん一度戦闘しといた方が良いですよね?」
「ああぁん!何でだよ?」
楢崎の態度がさっきよりもずいぶん悪い気がする。
「理由は、簡単。昨日のスタンピードよりもモンスターの強さがどうなっているのかを知っておかないといかないからな。」
「だから、何でだよ?」
「弱ければ問題ないが、強ければ負傷者を増産しかねないし、最悪死者も多くなるかも知れないからな。」
俺の意見に渋々と了承し自衛隊、ブラックファングの順番で戦ってみることにした。
少し歩くと、モンスターと初遭遇する。出てきたのは、何の変哲もない普通のゴブリンである。自衛隊員達は、持っていたサブマシンガンでゴブリンをさっさと片付けてどや顔している。
「まぁ、俺達にかかればこんなもんかな?」
「楽勝でしたね!」
「余裕だな。」
「………そうですね。」
「強さはどうでした?」
俺が、自衛隊員に聞くと、
「はぁ~?見てなかったのかよ?余裕だよ!余裕!」
他の3人も頷いている。
「あっ、そうですか!………じゃあ、次はブラックファングの方達、お願いしますね!」
「了解だ!」
日下さんが返事をし、直ぐにモンスターに遭遇する。自衛隊員と違って銃を持っていないので近接戦闘を行っていた。日下さんが盾でゴブリンの攻撃を受け残りの2人が攻撃をする。まぁ、ここは、まだ、1階層なのでかなり余裕を持って戦闘を行っていた。無事にゴブリンを倒し、戦闘は、終了する。
「どうでした?」
俺は、さっきと同じ質問をブラックファングに投げ掛ける。
「前と大差ないと思う。」
椎名さんも姉ヶ崎さんもウンウンと頷いている。
「そうですか。………きちんと記録しといてくださいね!宇佐美さん。」
「わかりました。」
「じゃあ、少しスピードアップしますよ!」
「「「「「「「「スピードアップ?」」」」」」」」
「じゃあ、哮天犬!頼むな!」
「わん!」
俺は、ジョギングする程度に走り始める。俺以外は、ブツブツ言っている奴もいたが、渋々と付いてくる。モンスターは、一番前を走る哮天犬が一瞬のうちに始末してくれているのでモンスターと会敵することはなかった。
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