第63話副支部長

今日の探索を終えて帰還する。買い取りの受付にて神崎さんを呼んでもらうように依頼する。だが、神崎さんは今日は休みと言うことで違う人が対応してくれると言う。取りあえず俺達3人と哮天犬は個室に通される。


「私達がここに来て良いんですかね?」


「別に問題ないんじゃないか?」


「わぁー!緊張するっす!」


なんて話をしていたら、個室のドアが開く。そこには、スタイル抜群で、胸は大きくウエストは細くお尻は良い感じに出ており、黒縁のメガネをかけたとても色香のある女性が入ってきた。俺が一瞬スゲーなと見ていると隣では、胸を押さえている遙とウエストが気になっている朔夜の姿があった。


「ほう、お前が最近話題な神月サイガか?」


「話題になっているかどうかはよく知りませんけど、俺が、神月サイガです。」


「それで、その2人は?」


「昨日の事件のことはご存じですか?」


「ああ、聞いている。」


「その事件の被害者の天上院朔夜と桜庭遙の2人です。昨日の事件の後に2人に一緒にダンジョン探索をしてほしいと言われたんですよ。」


「そうか!分かった!」


話が一段落すると、また、個室のドアが開く。そこから葵さんが現れた。


「すいません!遅くなりました。ゲッ、何であなたがここにいるんですか?」


「葵か!何故と言われても、今日は神崎が休みだからな。だから、私が代わりにここに来た。」


「そうなんですか!サイガさん。この人のことは?」


「いえ、まだ何も。」


「まだ、話していんですか?」


「それは、これから話す予定だったんだ!」


「この人は、ここのナンバー2の四ノ宮真季だ。さて、今日の成果を見せて貰お

「わかりました。」


「うっす!


「そう言えばまだ、名前を聞いてなかったな。」


「あっ、すみません。私は、天上院朔夜といいます。」


「天上院??」


「そして、私は桜庭遙っす。よろしくっす。」


副支部長は、何やら朔夜の素性をあやしんでいるようだ。そんなことは


知らない朔夜たちは、自分の鞄から詰め込めるだけ詰め込んだのた、


「ほう、これはサンドリザードマンの魔石と皮か!これなら魔石を1つ2200円、皮を5200円で買い取ろう。」


「えっ、そんなになるんですか?」


「マジっすか?」


「何だ、不満か?」


「いえ、そんな。」


「満足っす!」


「あの、四ノ宮さん。昨日、買取りした時は魔石が1つ2000円、皮が1つ5000円だったんですけど………。」


「何だ、葵。そんなことも分からんのか?おいっ、お前達、これらは何階層で取ってきたんだ?」


「えっーと、確か7階層です!」


「あっ!」


「分かったか?そう言うことだ。昨日の素材は私も見た。だが、昨日のものよりも明らかに上質になっている。階層が深くなるとその分モンスターも強くなる。ということは素材も必然的に良くなる。だから、昨日より買取金額が上なんだ。」


「そうでしたね!忘れてました。」


「それて、計算だが、天上院の方は、魔石が18個で3万9600円、皮が15で7万8000円でトータル11万7600円。桜庭が、魔石が20個で4万4000円、皮も20個で10万4000でトータルが14万8000円だな。全部売りで良いんだよな?」


「はい!」


「お願いするっす!」


「分かった。それで、支払方法だが、現金と探索者カードに振り込みどっちが良い?」


「じゃあ、振り込みでお願いします。」


「私もっす!」


「分かった。じゃあ、葵。品物と振り込みをしてして貰って来てくれ!」


「えっ、自分がですか?」


「他に誰がいる?」


「はぁ~!わかりました。直ぐに戻ってくるので面白そう  

な鑑定は後にしてくださいね。」


「分かったから早くいってこい。」


急かすと、葵さん朔夜と遙から探索者カードを預りは部屋を出ていく。


「じゃあ、続きを始めようか!」


「そうですね。じゃあ、まずはこれをお願いします。」


俺は、宝箱から手に入れたスキルの書を手渡す。


「ほう、まずは無難に来たか…………。これは、風魔法と水魔法だな。それで、買取か?」


「あっ、いえ、それは朔夜たちに使って貰おうと思ってます。」


「えっ、私達ですか?」


「いいんすか?」


「勿論。弟子なら強くなってもらわないと困るからな!」


「「ありがとうございます。」」


「それで、誰がどっちを使うんだ!」


2人は顔を見合わせて、


「私が風魔法を使いたいと思います。」


「じゃあ、私が水魔法っす!」


「了解。じゃあ、どうぞ。」


俺は2人にスキルの書を手渡す。


「あの、因みにこれって売ればどのくらいになるんですかね?」


「そんなことも知らないのか?両方とも売れば100万円以上で買うとしたら200万円以上になるな。」


「えっ、そんなに!!」


「良いすか?師匠!」


「構わないから使って良いぞ!」


「ありがとうございます。」


「ありがとうっす!良い師匠を持ったっす!」


名前 天上院朔夜

レベル 12

HP 320

MP 400

スキル 礼儀作法4 風魔法1

称号 お嬢様 神月サイガの弟子


名前 桜庭遙

レベル 12

HP 400

MP 350

スキル 水魔法1

称号 神月サイガの弟子


朔夜と遙がスキルの書を使用すると、個室の入り口が開き葵さんが帰ってきた。


「随分早かったな。」


「勿論です。最近はこれが楽しみですからね。それで、どこまでいきました?」


「今、スキルの書を鑑定して、水魔法と風魔法で、そこの2人が使用した所だ。」


「そうなんですか!よかった。メインはここからですね!」


「そうだな。では、続きを頼む。」


「わかりました。次はこれですね!」


俺はリュックを差し出す。


「中は、トマトとサンドリザードマンの魔石か!」


「これまた大量ですね。」


四ノ宮さんは鑑定を行う。


「サンドリザードマンの魔石はさっきと同じで1個2200円で、30個で6万6000円。トマトが1個2200で100個あるから22万円になるな。」


「流石、師匠っす!私達の倍の金額あるなんて!」


「そんなこと無いよ。偶々、皆よりバックが大きかったから一杯入っただけだよ!」


「さて、他には何か無いのか?」


「「ギクッ!」」


何故か朔夜と遙が緊張している。


「じゃあ、次はこれをお願いします。」


俺は、サーペントの皮と魔石を渡す。


「これは?」


「7階層のフロアボスの魔石と皮です。」


「ほう!中々良いものだな!魔石を1万5000円、皮を15万円で買い取ろう。」


「うわー!すごいっす!」


「こんなにするもんなんですね。」


2人がはしゃいでいるので困った顔をしていると、


「まだ、何かあるな!」


「あります。」


と、言って俺は横に置いておいた刀を差し出す。


「ほう?これか!」


「すみませんが絶対に鞘から抜かないようにお願いしますね!」


「そんなに危険なものなのか?まぁ、鑑定をしてみたらハッキリするだろう。」


四ノ宮さんは鑑定を開始する。が、少し時間がかかってるみたいだ。すると、少し汗をかいておりゆっくりとテーブルに刀を置く。


「お前、これをどこで手に入れた?」


「7階層を探索中に地面に刺さっているのを見つけました!」


本当はグラム達が見つけたんたが、そこは内緒にしておく。


「もしかして、抜いたのか?」


「抜きました!」


「それで、何ともないのか?」


「ええ。というか、調伏できちゃいました!!」


「………………ははははははは!神月、お前は、葵達が面白いやつがいると言っていたがまさかここまでとはな!!」


「ちょっと、四ノ宮さん自分だけ納得してないで教えてくださいよ!」


「神月、話しても良いか?」


「外部に漏らさなければ良いですよ!」


「実はな、この刀の名前は雷神の剣という。そして、剣にしてスキルを持っている。そのスキルっていうのが刀の名前通り雷神というスキルだ!」


「ら、雷神!?」


「そうだ。そして、そのスキルは、本物の雷神が宿っているらしくてな、未熟な者が持てば暴走するという面倒な性質を持っているんだよ!」


「そうなんですか師匠?」


「みたいだな。」


「それを、こやつは雷神を自分の傘下におさめたようだ。これが、笑わずにいられるか?」


「いや、そこは笑うところではない気がするんですが………。」


「それで、これは買取に出すのか?」


「いえ、出したら後でコイツに何言われるか分かりませんからね!」


と、刀を指差す。4人とも頭の上に?????が浮かんでいるのが見えた。


「ああっ、刀を抜いた際に、刀?雷神?の方から話しかけてきたんですよ!」


「えっ、刀が意志を持っているということですか?サイガさん。」


「そう言うことだと思いますよ。折角、認めて貰ったのに売ったりしたら後でどんな罰が下るか分かったもんじゃないですし。でも、もし売るとしたらどのくらいの価値になるでしょうか?」


「それ、私も気になる!」


「私もっす!」


「自分も気になります!」


四ノ宮さんは少し考え込んだ後、ゆっくりと話し始める。


「そうだな!値段はつけられないだろうな。まぁ、最低でも1億は下らないだろうな!」


「いっ1億!」


「すっ凄すぎっす!!」


ヤバイ!そんなものを使わないといけないなんて少し後悔をするが仕方ないか。そして、皆で一息入れると、何か皆の雰囲気が終わりのようになっている。


「あっ、すみませんが、まだ、あるんですけど…………。」


「はぁ~?まだあるのか?最後に出すってことはあれ以上にヤバイものなのか?」


「いや~!そんなにヤバイものじゃないんですけどね!」


「遙、絶対あれだよね。」


「あれしかないっす!」


2人が小声で確認しあっている。


「最後はこれですね!」


俺は、野球ボール位のブルーダイヤモンドとレッドダイヤモンドをテーブルの上に置く。すると、ピシッと音が聞こえ四ノ宮さんと葵さんが石化したようになる。暫く、2人はフリーズしたようで


「ねぇ、やっぱりあれって相当ヤバかったんじゃない!」


「そりゃあそうっすよ。あんなに大きなダイヤなんて見たこと無いっすもん!」


と、2人はヒソヒソと話をしている。一応全部聞こえてますが………。


「ははははは!これだからサイガさんは面白い。」


急に葵さんが笑い始めた。それに、副支部長も正気を取り戻し、


「まさか、こんなものを持って帰ってくるとはな。」


「はぁ。マズかったですか?」


「マズかったとは言えなくはないが、仕方ないだろう。たがな、これを今、ここで、買い取ることは出来ん。」


「「「えっ?」」」


「まぁ、落ち着け。今は出来ないと言ったんだ。これに、如何程の価値があるのか分からん。なので、私の一存では決められないんだよ。」


「えっ?でも、トマトの件は、四ノ宮さんが決めたじゃないですか?」


「馬鹿か葵?あれとは評価基準が違うんだよ。」


「評価基準?」


「トマトの場合、2000円で買ったとしても6、7000円で売ればこちらの利益は4、5000円になるだろう。人件費等もあまりかからんしな。このくらいなら別段問題は無いんだよ。まぁ、遠い目で言ったらこちらも結構な収益に繋がるんだがな。でも、この宝石に関しては別だ。これには直ぐにでも結構な額の金が必要になるが、私の権限ではそんな大金今すぐには動かせんしな。」


「えーっと、副支部長?因みにどのくらいの価値になるんですかね?」


俺は、恐る恐る聞いてみる。


「この大きさだと億は下らないと思うぞ!」


「「億っ??」」


朔夜と遙がハモる。


「じゃあ、支部長に先ずは話を通したほうが良いんじゃないですか?」


「そうだな!葵、呼んできてくれるか?」


「分かりました。」


そう言うと葵さんは部屋を出ていく。


「少し待ってもらうぞ。」


「それは良いんですけど、支部長ってどんな人なんですか?」


「少し、面倒な奴だな。」

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