第62話 グラムの拾い物

さて、2人はまだ、爆睡していた。彼女達が眠ってそろそろ1時間が経過しようとしていたので起こすことにした。じゃないと、グラム達と合流出来なくなる可能性がある。


「おーい。2人ともそろそろ起きろよ!」


俺は2人の肩を揺すって声かけをする。


「う、うーん!はっ、私、いつの間にか寝てた。」


「むにゃむにゃ!はっはっはっ!」


朔夜の方は目覚めたようだが遙の方はまだ、夢の中のようだ。


「朔夜、遙を起こしてくれるか?」


「はっはい。わかりました。」


朔夜に頼んで遙を起こして貰う。


「ふぁ~、師匠。おはようっす!」


「おはよう。そろそろ出かけるぞ!」


遙の方は寝起きが悪いのかしゃっきりとしない。たが、15分後には準備は出来て出発する。やることはさっきと変わらない。彼女達のレベルアップである。そして、途中でトマトがみのっているところを2ヶ所見つけたので忘れずに回収する。回収時に、リュックに入りきらなくなったトマトは俺のアイテムボックス行きになる。


「師匠は、何で最初からアイテムボックスを使わないっすか?」


「こんなスキル持ってるのがバレたら面倒なことになるだろ!」


「ああ~!」


納得はしてくれたみたいだ。


「教えたのは2人だけだから内緒にしてくれよ。」


「勿論っす!」


「私も誰にも言いません!」


「よろしくね!」


そんなこんなで、3時過ぎには7階層のボスまで到達することが出来た。既にそこにはグラム達が待っていた。


「ご主人、遅いの!」


「待ちくたびれたぞ!」


「ウル達のが早かったのです!」


「悪い悪い!そんなに時間かけるつもりはなかったんだけど、ってか、お前達が早すぎるんだと思うけど!」


「そっそんなことはないの!」


「そうだぞ!」


「モンスターが雑魚過ぎて面白くないから早く来たわけではないのです!」


なんか1人本音を言ってないか?


「まぁ、いいか。ところで、ここのボスモンスターはなんだ?」


「多分、蛇なの!」


「そうか。っで、誰がやるんだ?」


「ちょ、ちょっと師匠!何言ってるんすか?この階層のボスなんすよね?全員でやらなくていいんすか?」


「別に大丈夫だろ?なぁ?」


「この階層くらいなら平気なの!」


「だぞ!」


「ウル達を甘く見ないことなのです!」


「そっ、そうなんすか!」


「遙!師匠達には、私達の常識が通用しないんだから黙って見といた方がいいわよ!」


「そっ、そうっすね!」


何か後ろで心外なこと言われてるようだけど気にしたら負けだ。


「それでやりたい人!」


すると、俺を含めた全員が挙手をする。挙げているものは大半は手ではないがそこは気にしない。


「これじゃあ埒が明かないな。じゃんけんをするわけにはいかないから、あみだくじで決めようか!」


俺、グラム、スノウ、ウル、哮天犬では流石にじゃんけんは出来ないのであみだくじする。


「ご主人、あみだくじってなんなの?」


俺は紙とマジックをアイテムボックスから取り出しあみだくじを作りながら説明する。


「俺達は5人だから5本の直線を書く。そして、その5本の内のどれかに当たりの印をつける。これは、俺がやると反則に思われてもいけないから朔夜にやって貰う。」


「わかりました。」


朔夜は、当たりを書き、当たりの部分を見えないように折る。


「後はこの縦線の間に適当に横線を入れる。すると、あみだくじの完成だ。最後に、あみだくじをやる人が5つのうちどれか選ぶ。最終的に当たりを引いた人がボスを倒すってこと。オッケー?」


「わかったの!」


「了解だぞ!」


「絶対に当てるのです!」


「わん!」


「じゃあ、選んでいいぞ!俺は最後でいいからな!」


4人は一切に選びそれぞれ違うところを指差したので喧嘩にならずにすんだ。


「最後は俺だな。」


俺は、自分の名前を書く。


「さて、どうする?」


「どうするとはどういう意味なのです?」


「1人1人やっていくか、一気に行くか!」


「そんなの一気に決まってるの!」


「そうだぞ!」


「早く結果が知りたいのです!」


「わん!」


「わかった。じゃあ、一気に行くぞ!」


俺は、折られている紙を広げる。ちょうど真ん中に丸が書いてあるので、そこから上に登っていく。最終到達点は俺であった。


「よしっ!」


「外れたの!」


「残念だぞ!」


「次こそは当てるのです!」


「クーン!」


っと、言うことで俺になりました。パチパチ!俺が下に向かう階段に進むとしたから巨体な蛇が現れる。全長は10メートル位ある蛇である。取りあえず鑑定をしておく。


種族 サーペント

レベル 18

HP 1500

MP1200

スキル 毒3 巻きつく5 硬化2


「さて、やろうかな!その前に、朔夜と遙!」


「「はい!」」


「俺が今からあの蛇を麻痺させるから攻撃してきてくれ!」


「えっ!?」


「マジっすか?」


「マジ!じゃあ、やるぞ!」


結構体がでかいので強めに雷撃を放つ。蛇はビリビリして体が上手く動かなくなっている。どうやら麻痺したようである。


「よしっ!行ってこい!」


「うっ!」


「仕方ないっす!やるっすよ朔夜!」


2人は麻痺している蛇に攻撃を加えて無事に戻ってくる。


「怖かった!!」


「緊張したっす!」


「後はやるから下がってろ!」


「あんなの1人で大丈夫なんですか?」


「黙ってみてるの!」


「だぞ!」


「ご主人なら大丈夫なのです。まぁ、ご主人じゃなくても大丈夫なのですけど!」


「わんわん!」


何かここまで言われたら圧倒的に勝つしかない。じゃあ、あれしかないかな。俺は蛇に突進し、鞘を左手で持ち納刀している刀の柄を持つ。そして、縮地を使って一気に接近しそのまま抜刀術で止めをさす。瞬煌である。俺が、抜刀した木刀を鞘に納めると蛇の体は徐々にずれ始め、最後には真っ二つになる。当然2人の顔は茫然自失の状態である。


「まぁ、放置しててもいいか!」


少しすると蛇は消えドロップ品が出現する。今回は、魔石と蛇の皮がドロップしていた。


サーペントの皮

サーペントからドロップする皮。軽く防御力が高い。普通の皮としても重宝される。


取りあえずこれは持って帰るとするか。さて、次は、宝箱だ。既に宝箱は出現している。取りあえず2人を正気に戻し宝箱を開けるとする。


「何かドキドキしますね!」


「楽しみっす!」


「俺も毎回この瞬間は楽しみだよ!」


「ご主人、早く開けるの。」


「中見が楽しみだぞ!」


「早くするのです!」


「わんわん!」


「分かった!じゃあ、開けるぞ!」


俺は宝箱を開ける。今回の中見は、野球ボール位の宝石が2つとスキルの書が2つ入っていた。スキルの書の内容は、水魔法と風魔法である。まぁ、ここで、分かるとは言わない。まだ、鑑定のスキルを持っていることをこの2人には言ってないからな。さて、残りの2つの宝石だが、


ブルーダイヤモンド

ダンジョン産のブルーダイヤモンド。


レッドダイヤモンド

ダンジョン産のレッドダイヤモンド。


「わぁー!綺麗ですね!」


「これはヤバイっす!」


「確かに綺麗だよな。まぁ、そんなことよりも、」


「そんなこと?」


「これはスゴいことっすよ!」


「まぁ、いいから。それよりは君ら、自分のステータス見てみたら?」


「そういえば!」


「今日はまだ、1回も見てないっす!」


俺もついでに彼女達を鑑定する。


名前 天上院朔夜

レベル 12

HP 320

MP 400

スキル  礼儀作法4

称号 お嬢様 神月サイガの弟子


名前 桜庭遙

レベル 12

HP 400

MP 350

スキル

称号 神月サイガの弟子


礼儀作法

礼儀作法が上手くなる。


お嬢様

生まれたときからお金持ちの家で育ってきた。


神月サイガの弟子

神月サイガの弟子。成長促進。


鑑定してみると、まさかまさかのお嬢様だったんだ。でも、何でお嬢様が探索者なんかやってるんだろ?まぁ、深くは聞かない方がいいかな。


「わぁー!すごいレベルが上がってる!」


「うぉぉぉー!すごいっす!」


2人は感動しているようである。その様子を見ている俺にグラムが話しかけてくる。


「そう言えば、ご主人と別れてこんなものを見つけたの!」


グラムは自分のスライムボックスから1本の刀を取り出す。一応その刀を鑑定してみると、


雷神の剣

スキル 雷神 破壊不可 雷纒


雷神の剣

雷神が宿っている刀。レベルが低いと雷神に支配される。


雷神

雷神の意志か宿っている。雷神の力を自由に扱うことが出来る。但し、雷神に支配されるとMPがなくなるまで暴れまわる。


雷纒

武器に雷を纏い攻撃力を向上させる。


一応剣とは鑑定で出ているが見た目は殆ど刀である。が、細かいことは気にしないようにしよう。


「なぁ、グラム。これどうしたんだ?」


「ご主人と別れてから少ししたら、鞘に入ったまま地面から生えてたの!」


「えっーと、近くには誰もいなかったのか?」


「いなかったの!」


「まぁ、まだ、この階層には探索者がいるわけないし、自衛隊が居たとしても気配はあるだろうし。と、言うことは、誰かの落とし物って線は無いに等しいな。」


取りあえず、刀を抜いてみる。俺はここで、何も考えずに抜いてしまったのは誤算だった。刀は少し黄色がかっており、バチバチと帯電しているようである。すると、


《ほう、我を扱える者がいるとはな!》


「???なぁ、誰か何か言ったか?」


全員一斉に首を横にふる。まぁ、首の無いものもいるけど……


《何を言っておる!御主が持っているではないか?》


「はぁ~?マジ?」


「ご主人、うるさいの!」


「あっ、ごめん。」


《一応念じるだけで我には通じるぞ!》


《あっ、そうなんだ。それで、お前は何なの?》


《何だ、そんなことも分からんのか?》


《普通は武器は喋らないから分からないと思うぞ!》


《そっ、そうか!我は剣に宿っとる雷神じゃ!》


《えっ、鑑定のときスキルに雷神ってあったけど、あの雷神?》


《そうじゃ!》


《マジか?》


《マジじゃ!それで、御主が剣を抜いたから御主を支配してやろうと思っておったが支配出来なくて困っておったのじゃ!》


《支配って、サラッと恐いこと言わないでくれます?》


《儂が、誰にでも扱えたら困るじゃろ?》


《確かに雷神なんて危そうな名前のスキル誰にでも扱えたら恐いわ!》


《じゃが、御主には我を扱えるだけの強さがあるようじゃから、これからは儂も楽しませて貰うぞい!》


《えっーと、どういう意味かな?》


《なんじゃ、簡単なことじゃ。御主が我を使うということじゃ!》


《つまり、武器として使えと?》


《そうじゃ!》


《えっーと、悪いんだけど、俺のメイン武器はこの木刀なんだけど……。》


《むっ!我を使わないと言うのか?》


《そう言うことになるかな!》


《我も久しぶりに暴れたいのじゃ!頼む!》


《はぁ!分かったよ。その代わり俺の言うことは聞いて貰うからな!》


《それは仕方ないのじゃ!そうじゃ、御主は雷系の魔法は使えるかの?》


《一応使えるけど……。》


《そうか!それは良かった。》


《どう良いんだよ?》


《儂の名前は雷神の剣じゃ。そして、その名のとおり剣には雷属性が常時付与された状態になっておるが、ここで、御主新たに雷系の魔法を付与することにより従来の2倍の威力を発揮することが出来るぞ!》


《なんかそれってヤバくない?》


《ヤバイものか!それが、儂の最大の売りじゃ!》


《分かったよ!これからよろしくな!》


《こちらこそ、これから頼むのじゃ!》


はぁ~やっと終わった。何か面倒な物を手に入れた気がするが効果は物凄いものを感じる。ふ


「さて、8階層に降りたら帰るぞ!」


「「「「「はーい!」」」」」


「わん!」


こうしてみんなで8階層に行き、グラム達に指輪に入って貰い帰還する。

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